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ロード・オブ・白御前
ユグドラシル編
第11話 Mission・ユグドラシルに潜入せよ
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 とある日のドルーパーズ。いつもなら錠前ディーラーの指定席となっている個室席には、彼ではない人物が座っていた。

 駆紋戒斗と関口巴だ。

 二人して注文品は紅茶。威圧感を隠さない戒斗と、品良くまさに茶を「嗜んで」いる巴に、近づく客は一人としていなかった。

「ネットで観ました、合同イベント」

 今から1週間前だ。チーム鎧武が主催で、全ビートライダーズによる抗争終了宣言と、それを示すための合同ダンスイベントが催された。この戒斗もまた、ダンサーとしてではないが、参加していた。碧沙が「定期検診の日だから」と言わなかったら巴も参加したかった、と思うほどの出来栄えだった。

「例の量産型のドライバー、チームのナンバー2の方に譲ったんですね」

 巴は上品さを意識しながら紅茶を一口含んだ。この男の前では何故か、どんな種類であれ、虚勢を張らねばならないという気にさせられる。一度敗れた経験があるからかもしれない。

「それを見て、あの時、どうしてあなたがわたしに量産型のドライバーを渡したのか、何となく分かりました」
「ほう?」
「あなたは『敵』が欲しいのではないですか? 『力』も『強さ』も相手があってこそ成立する概念です。現状、あなたにとっては、その相手が少なすぎる。だからわたしや彼にドライバーを渡して、『敵』に仕立て上げようとしている。いずれわたしたちを叩き潰すために」

 巴は戒斗を見た。戒斗はひどく満足げに冷笑していた。ぞっとして、つい視線を逸らした。

「――というのが、わたしの勝手な解釈です」
「9割正解だな」
「あまり嬉しくないのはどうしてでしょう……」

 いつかこの男は「敵」を求めて世界を敵に回すかもしれない、なんて、益体のない、でもありえそうなことを思った。

「よっす」

 タイミングよく葛葉紘汰が現れた。巴は席を右にずれて彼のためのスペースを作った。

「遅いぞ。そいつと話でもしていたのか」
「へ? ――うお、ミッチ!?」
「あら」

 紘汰自身が飛び上がるほどひっそりと後ろにいたのは、碧沙の次兄、呉島光実だった。
 光実は紘汰を追い越し、巴が空けたスペースに座った。

「ユグドラシルに手を出すつもりですか」

 あちゃー、と紘汰は片手で頭を叩き、近くの席に腰を下ろした。

「僕もあの森に行ってるんだ。知る権利があると思います」
「――ユグドラシルの研究所に潜り込む」
「巻き込みたくなかったんだけどなあ」
「方法は」
「奴らの裏を掻く」

 タワーへの侵入はヘルヘイムの森からクラックを経由して。警備の黒影トルーパー隊は戒斗が仕込んだダンデライナーで拘束する。三者が離れ離れになっても探さず、単身でラボを目指す。

「――よく出来た作戦だと思います。で
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