第一章
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」
「頼むよ」
くどいまでに言う先生だった。
「それはね。絶対にね」
「はい」
この時はこれで話は終わった。生徒達は阿部先生の言葉の意味があまり、いや殆どわからなかった。しかしある時に。それを見ることになったのだ。
「何じゃその動きは!」
「御前は豚か!」
同じ学校の教師である平生喬一という教師だった。この教師は百キロはあろうかという肥大した大男であり風采は醜く仕草は教師というよりヤクザそのものだった。肩をゆすって傲慢に歩き不恰好なパーマをしている。何かあれば生徒を殴り蹴りしかもそれが執拗なことで有名だった。
おかげで彼は生徒から嫌われているがそれで反省するような男ではない。この日も生徒達に対して些細なことで暴力を振るっていた。
「御前は何処の主将だ!」
「はあ・・・・・・」
「返事はそれか!」
いきなり蹴り飛ばす。剣道の稽古で防具の上からだがそれでも大きく吹き飛ばされた。
「なっ・・・・・・」
それを見て先生も驚くばかりだった。
「幾ら何でもあれはやり過ぎだ」
「やり過ぎなんてものじゃないです」
「僕達いつもああなんですよ」
彼の側にいる剣道部員達が暗い顔で言う。その間にも平生は一回蹴った生徒を次々に蹴っていく。何時しか壁にまで追い詰められていく。
「はいだろうが、はい!」
「は、はい!」
「声が小さい!」
喚きながら今度は殴っていく。やはり防具の上からであってもかなり執拗だ。
「はいは!」
「はい!」
「まだだ!」
「まだだって」
唖然としながら呟く先生だった。
「あんまりじゃないか。あの暴力は」
「そう思います?」
「思うよ」
はっきりと生徒達に答えたのだった。
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