ユグドラシル編
第5話 脱出
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相手は紘汰よりずっと年下のはずなのに、碧沙の声には意見を呑ませるだけの気迫があった。
碧沙と巴が奥へ向かう。紘汰はただ付いて行った。そして彼女らが足を止めたドアの向こうには、苛々と部屋の中を物色する戒斗がいた。
「戒斗っ」
「! お前ら……」
部屋のドアの横のカードリーダに、碧沙がカードキーを当てた。ロックが開く音がしてから、碧沙がドアを開いた。
「どうして――」
「話は後だ。さっさとここから逃げ出すぞ」
「――、手ぶらで帰るつもりはないぞ」
「同感だ」
紘汰と戒斗が向かったのは、戦極凌馬のオフィスだった。同じく虜囚だった巴、そして開錠のためのカードキーを持つ碧沙も付いて来た。
碧沙がカードで開けたオフィスで、紘汰と戒斗はそれぞれの戦極ドライバーとロックシードを取り返した。
「さすがにユグドラシルでも、捨てられたベルトまではないわよね」
巴が苦く笑った。彼女には、アーモンドのロックシードがあるだけ。
ここに来るまでのエレベーターの中で聞いたのだが、何と戦極ドライバーを親にゴミに出されたとか。それを聞いて戒斗が青い火のごとく怒っていたのを、紘汰は見て見ぬフリをした。
「こいつは誰でも使えるように改造されてるって話だったな」
2機ある量産型ドライバーの内、戒斗は一つを取ると、巴に押しつけた。
「あの、どういう意味――」
「要らないならいい」
「い、要る! 要ります!」
巴は慌てたように戒斗の手を掴んで引き留め、量産型ドライバーを受け取った。要る、と自ら答えた割に、その顔は不安でいっぱいだった。
そんな巴に、そっと、碧沙が手を添えた。
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