ユグドラシル編
第2話 対面
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たのせいで、裕也はあんな姿になって苦しんでんだろ!?」
「まず誤解があるようだが。角居君は自ら申し出てココにいるんだ。何なら彼に聞いてご覧? 彼は自分の意思だと答えるよ。――ねえ、角居君」
裕也が気まずげに紘汰から顔を逸らした。
「ゆう、や?」
「……ごめん、紘汰。その人の言う通りだ。俺は俺がやったバカのせいでああなって、ここにいることにしたんだ」
「で、でも、脱走してきたんだろ!? だったら… !」
そこで紘汰は何かに気づいたように凌馬を睨みつけた。
「お前――裕也に何吹き込みやがった!」
紘汰が凌馬に飛びかかろうとした。
だが、それは叶わなかった。耀子が裕也を掴んでいた手を離し、紘汰の顔面に回し蹴りを叩き込んだからだ。耀子は倒れた紘汰にのしかかり、腕を後ろ手に組ませて動きを奪った。
「紘汰っ!」
「湊君、お手柔らかにね」
「――はい。プロフェッサー凌馬」
耀子が紘汰を解放し、裕也の拘束に戻った。
巴はパイプ椅子から降り、倒れた紘汰が立ち上がるのを助けた。紘汰がパイプ椅子に座り直すまで肩を支えていると、座った紘汰から、苦しそうな笑みと共に感謝を告げられた。巴はどう答えていいか分からず、自分もパイプ椅子に座った。
「これはヘルヘイムの果実を安全に取り扱うための私の研究成果だ」
凌馬は回収されたロックシードを一つ取り上げ、巴たちに示してみせた。
「果実がもたらす力は計り知れない。食べた生物の体が力に耐えきれず、インベスに変化してしまうほどだ。だがその養分を――」
凌馬がしゃべっていると、巴からすれば唐突に、戒斗と紘汰が勢いよく立ち上がった。
戒斗が凌馬のうなじに向けて投げたのはトランプ。彼らは同時にドライバーとロックシードに手を伸ばした。
「紘汰、やめろ!」
だが、そう簡単に行くなら、自分たちの拘束がこんなに緩いわけがない。
案の定、湊耀子が動いた。
そして、巴もまた椅子を立った。二度目は看過できない。
耀子は足技が主体らしい。ならば止めるのは簡単だ。
巴は腕を盾にして防いだ耀子の足を、掴んで捻り返そうとした。だが耀子も狙いに気づいたらしく、もう片方の足でジャンプして巴の鼻面に蹴りを入れた。顔面を狙われたことで注意が逸れ、せっかく取った片足も逃げられた。
耀子の攻撃はそれで終わらなかった。当然だ。彼女は戦極凌馬の守り役。彼に害成す紘汰や戒斗を放置するわけがない。
耀子の蹴りが紘汰と戒斗に炸裂する前に、巴は今度、両腕を使って彼らの乱戦に踏み込んだ。
彼らに入るはずだった蹴りと掌底を腕と膝で止めた。
「――やるじゃない、あなた」
「それほどでも」
薙刀があれば、有体にいえば戦極ドライバーがあれば。
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