ビートライダーズ編
第12話 変身できなくても
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念ですが、そろそろ時間もありますし、切り上げないと」
するん。巴の手が再び初瀬と腕を組む形に持って行かれた。初瀬も短時間ながら巴がこうしてスキンシップを取りたがるのに慣れてしまい、巴の好きにさせることにした。相変わらず、最初は心臓の音がうるさいが。
彼らはゲームセンターを出て、歩いて5分とかからない駅に向かった。
駅構内で初瀬は柱に固定された時刻表を確認する。
「まだ時間あるな」
「そうですか」
「――なあ、ずっと聞きたかったんだけど。それ、いつまで出しとくつもりだ?」
初瀬が指さしたのは、巴がずっと抱いていたデフォルメ白馬のぬいぐるみ。学生鞄に入れないので、目立つことこの上ない。
「だって、こういうの貰ったの、初めてだから」
巴が仄かに笑ってぬいぐるみを改めて抱いた。
「亮二さん、一緒に行くかって言ってくれて、こんな物までくれた。宝物にするの」
――下の名前で呼ばれたのは、いつ以来だろう。家族以外の人間は初瀬を苗字で呼んだ。城乃内でさえ「初瀬ちゃん」呼びだった。
(やばい。抱きしめたい)
初瀬は、まさしく衝動的に、湧き上がった感情に任せて巴に触れようとした。
――駅構内に突如として開いたクラックからセイリュウインベスが出現しなければ。
客の悲鳴で構内が満ちる。皆が我先に逃げ出していく。
(よりによって何でベルトがねえ時に――くそ!)
初瀬もまた巴の手を掴んで駅から逃げようとした。
「あっ」
走り出した拍子に巴の手からぬいぐるみが落ちた。巴がそれを拾おうと初瀬の手を振り解き、戻る。その巴にセイリュウインベスが迫る――
「くぉ……んの、や、ろぉおおおおお!!!!」
初瀬は斜め横からセイリュウインベスに体当たりした。
「亮二さん!」
「づ……〜〜っ」
初瀬は肩を押さえた。体当たりした自分のほうが、セイリュウインベスの硬い体表によってダメージを負った。
しかも、今の抵抗で、セイリュウインベスは初瀬を敵と定めたらしく、こちらに向かってくる。
「くそっ――おい、こっちだ、バケモノ!」
「亮二さん!?」
初瀬はダンスで培った足腰で改札を飛び越えた。セイリュウインベスも改札を壊して越えて初瀬を追ってくる。
ホームの白線近くまで行き、線路の向こうを確かめる。ちょうど初瀬たちが乗ろうとしていた便の電車が向かって来ていた。
セイリュウインベスが、改札を壊した勢いもそのままに、初瀬に襲いかかる。
(ここだ!!)
初瀬は瞬時に姿勢を落とし、セイリュウインベスに足払いをかけた。これもやはり脛にダメージを受けた。
セイリュウインベスがホームに落ちる。直後、凄
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