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Shangri-La...
第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
七月二十五日:『幻想殺し』U
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たけどさ」
「そっか……よかった。ありがと、こーじ!」
「どういたしまして」

 心の底から心配していたのだろう、当麻の無事を聞いて、ほうっと安堵の息を吐いた。

──そう、『禁書目録(インデックス)』。かつて、師父から聞いた『イギリス清教』の『必要悪の協会(ネセサリウス)』の魔術師であり……『十万冊以上の魔導書を暗記している』()()少女が、だ。
 最初は警戒した。何せ、その『必要悪の協会(ネセサリウス)』所属の魔術師を相手にした直後だし、当の上条は彼らにこうされたのだ。しかし、どうやら何らかの事情で彼女もまた、その『必要悪の協会(ネセサリウス)』に追われているらしい。

「……とうまの右腕は、『幻想殺し(イマジンブレイカー)』だから。魔術を、『殺し』ちゃうんだ。私の法衣もそれでだめにされちゃったんだ」
「『幻想殺し(イマジンブレイカー)』ねぇ……まぁ、そうでもなき説明つかないけど」

 プルタブを開け、ぐいと煽る。喉を滑り落ちる冷たい麦芽の苦味と酒精(アルコール)のもたらす熱が、腹の底から体温を上げていく。
 久々に感じるその、腹の中を優しく掻き毟られる感覚に、くうっと唸りながら。

「とうまのとこ、もう行っても大丈夫だよね? ね、こーじ」
「あぁ、勿論。付いててやりな。けど、騒ぐのは」
「うん!」

 最後まで聞く事も無く、インデックスは当麻の元へと駆けていく。苦笑しながら、換気扇を回して紫煙を吹かしつつ麦酒を煽る。

「やれやれ、あんな可愛子ちゃんに好かれてまぁ……羨ましいねぇ」

 幸い、明日は『風紀委員(ジャッジメント)』は非番。『警備員(アンチスキル)』や『アイテム』の招集が無ければ、一日、時間は空いている。帰り付いてから一眠りしても昼には目が醒めるだろう。
 携帯を弄る。よく見れば、義母からメールが届いていた。日時は二十二時頃、一番忙しかった時間だ。だから、メールで済ましてくれたのだろう。

「……何々、『情けは人の為ならず』?」

 それだけ。他には何もない。しかし、だからこそ考えさせられる格言だった。

「……そうだなぁ。そういや、恩返ししなきゃな」

 そのまま、携帯を弄る右腕に目を遣る。前腕に巻かれた、黒子のリボンに。確か、同じく非番の筈。
 明日の、一応の『予定』を立てる。まぁ、まだまだ『未定』だが。

「当たって砕けろ、だな」

 携帯を閉じ、居間に。一応、乗り掛かった船だ。取り敢えず、小萌が戻るまでは待とうと決めて。

「そら、今回は特別だからな」
『てけり・り。てけり・り♪』

 煙草を、麦酒をショゴスに与えて。それが平面の影に、玉虫色の煌めきと血涙を流す瞳の海に飲み込まれるのを待たず。
 当麻を心配そうに看護す
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