第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
七月二十五日:『幻想殺し』U
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嗜めるように。
「相手になど、なるものか。既に死に掛けの老骨などに。我等が師父、“牡牛座第四星の博士”が」
「だね、心配なんてしたら、ボクらが打ち殺されちゃうか。さぁ、仕込み仕込み」
確かな信頼を、二対四つの瞳に灯して。二つの影は、何処へともなく姿を消した。止まった車、そこから歩みでたピンク髪の……幼女?に連れられて行く彼らに気付かれぬまま。
虚空に浮かぶ、黄金に染まる純銀の影を放つ……無色の月に気付く事も無く。
………………
…………
……
手当てを終え、布団に寝かせた少年を見下ろす。包帯まみれのその姿を、煙草を燻らせながら。
時刻は既に、午前三時。草木も眠る丑三つ時だ。
「こんなもんか……見た目の割りには、そう深くない傷ばっかだったな」
住宅の一室、缶ビールの空き缶やコンビニ弁当のカスなどが散乱した、中々に汚い室内。割りと綺麗好きの嚆矢としては、片付けたい衝動に駆られたが、他人の部屋だ。我慢した。
なお、この部屋の借り主は『月詠 小萌』。当麻を搬送しようとしていた時に偶然にも通り掛かった、どう見ても幼女にしか見えないが、彼の担任らしい。何故か何処かで見た事がある気もしたが、今は怪我人を優先して気にしない事にした。
──ビックリしたよな、いや実際。そんな偶然があるとは、この男、随分な強運だ。
しかし、車のナンバーとか内装が代替車っぽかったな……何かあったんだろうか?
『てけり・り。てけり・り』
「あん? 何だよ、また欲しいのか? あのな、これもタダじゃねぇんだ、一回活躍する毎に一本だからな。次に活躍するまで、お預けだ」
『てけり・り。てけり・り……』
紫煙に誘われたか、影が沸騰するように泡立ちながら現れたショゴスが。恨みがましく血涙を流す瞳で睨みながら、しょんぼりと平面に還るのを見届けて。
代わりに、救急箱を片付ける。傍ら、今は傷薬や包帯、湿布薬や鎮痛剤などを買いに車を走らせている部屋の主が、『冷やすものとかが必要なら、冷蔵庫に入っているものを好きにしてくださいね』と言っていた事を思い出す。
なので、台所に向かって歩く。冷蔵庫を開けて、中から飲み物を……清涼飲料でもないかと思ったのだが、缶ビールしか無かったのでそれを頂いて。
「あ……こーじ! とうまは、とうまは大丈夫?」
「おっと……インデックスちゃん」
そこに、台所から駆け出してきた少女。青みの強い銀色の長い髪、妙にでかい安全ピンで継ぎ接ぎだらけの白い法衣に身を包んだ彼女……『禁書目録』と名乗った少女を見遣る。
「心配ないさ、救急箱の中に有るもので事足りたし。まぁ、魔術が効かないのには驚かされ
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