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ロード・オブ・白御前
ビートライダーズ編
第10話 少女の“変身”
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中に縦に開いたチャック。向こう側は赤い壁の研究所らしき内装が見て取れた。
 貴虎がそのクラックへと歩き出す。碧沙がごく自然に巴と腕を組み、引く。一緒に行こうと言外に伝えている。巴は碧沙に腕を引かれるに任せてチャックを越えた。





 女子が暗い時間に一人で街を歩いて帰るのは防犯上よろしくない。
 貴虎は大真面目に言い、帰りの車を手配すると申し出てくれた。

「お前ももう帰りなさい、碧沙」
「はい。兄さんは?」
「まだやることがある」
「分かりました」

 やりとりだけでも上流階級だ、と横で黙って聞いていた巴は思った。そして所詮、自分は本来なら碧沙と並び立てない庶民なのだと痛感した。


 ユグドラシル・タワーから出て、地下駐車場で迎えの車を二人で待った。

「波乱万丈のクリスマス・イブだったわね」

 冗談めかして言うと、碧沙は、

「そうね」

 笑顔で答えた。その笑顔に巴はほっとした。
 ほっとしたから、巴はウェストポーチに入れておいた物を臆することなく出すことができた。

 巴は、掌に載る程度の大きさの、ラッピングされた小箱を差し出した。碧沙は不思議そうに小箱を受け取った。

「あ、もしかして……クリスマスプレゼント?」
「ええ。ちょっと早いけど、メリークリスマス」
「巴!!」

 碧沙が巴に抱きついた。柔らかい。肌も髪も何もかも。

「嬉しい。友達からのクリスマスプレゼントなんて初めてよ。大好き、巴。ありがとう」
「大した物じゃないけれど」
「ううん。巴がくれた物なら、どんな宝石やブランドより価値がある」

 碧沙は小箱のリボンをほどいて中身を取り出した。
 桜貝を模したアクセサリーと白いタッセルの、イヤホンジャックだ。高い品は買えない巴なので、フィーリングで選んだ。

「すてき――」
「お気に召した?」
「とっても。ありがとう、巴」

 碧沙はイヤホンジャックを小箱に戻し、こつん、と巴の肩に頭を預けた。気に入ってもらえて巴も安心した。

「巴。わたしからもプレゼント、あげていい?」

 体を離すと、碧沙はバッグから、何と戦極ドライバーとアーモンドのロックシードを取り出した。

「ちょ……これ、持ち出していいの?」
「もうすぐ改良品が完成するから、1個くらい大丈夫でしょう」

 大胆にも程がある。巴は魚のように口をぱくぱくさせて親友を見返した。

「人助けしろとかじゃない。そんなことしないで。赤の他人のために巴が傷つかないで。ただ、自衛のため。巴自身がインベスに襲われた時に使って。巴が自分で身を守れるって思ったら、わたしも安心できるから」
「……そういうことなら」

 巴は碧沙から、戦極ドライバーとロックシードを受け取り、ウ
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