第二章
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」
「ふうん」
「今でも泳ぐのは好きだけれどね」
「海ではどうなの?」
靖はその言葉に問い返す。問い返すとすぐに返事が来た。
「好きよ」
クールなままの言葉であった。表情もそうであった。
「今もね」
「夏とか海水浴行くといいよね」
「そうね。ところで」
奈緒子は話を変えてきた。ちらりと彼の顔を見てきた。
「どうして私とここに来たのかしら」
「えっ」
ぶしつけな問いに言葉を失う。
「今何て?」
「どうしてここに来たのかしら。しかも二人で」
「いや、ただ一緒に見たかったから」
かなり下手な嘘をつく。奈緒子の冷たい目が心に突き刺さるのであった。
「それじゃあ駄目かな」
「それが本当の理由ならね」
やはり冷たい声であった。靖に顔を向けているがその顔も同じである。
「別にいいのだけれど」
「だから二人で見たかったからだよ、いや本当に」
「そうかしら」
やはり冷たい声で声をかける。
「確かに理由の半分はそうね」
「半分って」
「噂は聞いてるわよ、私だってね」
「えっ、まさか」
奈緒子のその言葉に身体が固まった。全てを見透こすような目が突き刺さるのを感じて靖は動きを止めるのであった。呆然とさえしていた。
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