第二章
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第二章
次の日の放課後。靖は隣のクラスの北川奈緒子と一緒にいた。黒く少し茶色がかったロングヘアに白く大人びた顔立ちで気の強そうな目と小さな鼻を持っている。背はあまり高くないがスタイルとその気の強そうな顔から高く見える。制服を上品に着こなしている。
靖はその奈緒子に頼み込んでここまで来ていた。奈緒子はそんな彼に対して言うのであった。硬質で冷たい響きのする落ち着いた声であった。
「何でここに来たの?」
「うん、実はね」
少し照れ臭そうな顔で奈緒子に言う。
「ここの展望台にね。いいものがあって」
「いいものって?」
目だけを靖に向けて問う。やはり冷たい印象だ。
「ここの公園よね」
「そうだよ」
靖は答える。二人が今来ているのは学校のすぐ側の公園である。街全体が見える展望台が有名である。そこから見える風景がかなり奇麗なのだ。
「展望台に行かない?」
「駄目だって言ったら?」
「えっ」
奈緒子のその言葉には思わず言葉を詰まらせる。彼女の言葉の冷たさが彼を金縛りにしてしまった。それだけの力を持つ言葉であった。
「駄目だって言ったらどうするの?」
「それはちょっと」
返答に窮する。奈緒子はそんな彼をじっと見る。彼は目を泳がせるだけだった。公園の緑の木々が目に入る。しかしそれは目に入るだけで心に入りはしなかった。
「ええと」
「別にいいわよ」
ところが奈緒子は急に心変わりしたようにこう言ってきた。
「私もあの展望台好きだし」
「そうなんだ」
意外といった顔で応える。奈緒子はそんな彼にさらに言う。
「行きましょう」
そして自分から声をかける。何か彼女の方が乗り気なのではと思える程であった。
靖はそのまま引き摺られるようにしてついて行く。展望台は緑に囲まれ下に街が広がっている。中央に噴水が置かれ赤いレンガが敷かれている。そうした場所であった。
下に見える街だけでなく海も見えている。青い海と様々な色の街が実に対象的である。それを見ていると風景に魅入られそうになる。二人は並んでその街を見ていた。
「今日は海が奇麗ね」
「そうだね」
靖は奈緒子の言葉に頷く。海は何処までも青く澄んでいてサファイアを思わせる。二人は今それを一緒に見ていた。そうして話をしていた。
「季節が違うけれど泳いでみたいね」
「泳げたのね」
「うん」
奈緒子の言葉ににこりと頷く。
「泳ぎは得意なんだよ、実は」
「それは知らなかったわ」
奈緒子はにこりともせず靖に応える。しかし相変わらずその顔は笑いもせずクールなままであった。
「私も泳ぐのは好きよ」
「あれ、そうだったの」
「小学校の時はスイミングスクールだったのよ」
やはり静かな顔で述べる。そうして靖の顔を見ていた。
「今はバスケ部だけれどね
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