ビートライダーズ編
第9話 聖なる祝日の迷子 A
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だと巴には分からない。
紘汰は変装して行った。つまり部外者に知られたくないことをしているのが、ここの集団なのだろう。そこに巴が何の準備もなく入れるとは思いにくい。
結局、巴は紘汰を待って、幹の陰に潜んでいることに決めた。
退屈なのでスマホをいじろうと取り出したが、電波は一本も立っていなかった。
(そもそもここって何なのかしら。森…なんでしょうけど、普通の森には見えない。インベスがたくさんいる。インベスはここの変な果物をエサにしてる……だめ。考えれば考えるほど訳分かんなくなってく)
やることもなく、紘汰もすぐには出て来ない。こんな不気味な場所でも退屈というものはあるようで、巴は幹の陰で膝を抱え、舟を漕ぎ始めていた。
「キャアアア!!」
意識が戻る。今の声は確かに悲鳴だった。
隠れながらキャンプ地を覗く。死肉に集るハエのように、インベスが溢れ返り、研究員や防護服の連中を襲っていた。
唐突な襲撃の光景に、巴はその場で立ち尽くした。そもそも巴と碧沙はインベスゲームを一度しかしていない。それでこれほど大量の、実体化したインベスを見て、どう動けばいいかなど分かるはずがなかった。
インベスの内、羽根のある1体が巴のほうに向かってくる。
『せいやぁ!』
だがそのインベスを、オレンジの鎧をまとったアーマードライダー鎧武――紘汰が斬って助けてくれた。
『大丈夫かっ?』
「なん、とか」
鎧武はこちら側に来るインベスを千切っては投げ、千切っては投げ。しかしそれでもインベスの数は減らない。
そんな中、戦っていた鎧武に、一人の白衣の研究員が縋りついた。
「助けてくれ! まだ中に人が!」
『っ、俺たちをモルモット呼ばわりしておいて、都合が良すぎだろ!』
それでもなお食い下がる研究員に負けてか、はたまた彼自身が根っからのお人好しなのか。鎧武はその研究員に逃げるように言い、さらなるインベスの群れに斬りこんだ。
(モルモット、ってどういうこと? 後で聞いたほうがよさそうね――っとぉ!)
飛行型のインベスが飛んできた。巴はインベスを避け、その拍子に地面に転がった。
――その時、巴の前にあった物が、彼女の運命を大きく変えることとなる。
目の前には、鎧武のようなアーマードライダーが腹に装着している、ドライバー、が。
地面のあちこちには、インベスの襲撃で散らばった、ロックシード、が。
巴は意を決し、ドライバーと、手近なロックシードを掴んだ。
ドライバーを見様見真似で腹に着けた。ベルトが両の脇腹を締めつける。バックルの左側に何かの横顔が刻印された。
次いでロックシードを開錠する。
《 アーモンド 》
(確かこの後、
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