羨望 -エンヴィ-part1/ウエストウッド村にて
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できた。
「皆どうして戦おうとするの!?サイトさん、武器をしまって!姉さんも杖を下ろして!」
「マチルダ…姉さん?」
サイトは、子供たちやテファがマチルダと呼んだ、あの土くれのフーケを見る。あの日、フーケは学院の教師、そしてオスマンの秘書ロングビルとして働いてた。破壊の杖が土くれのフーケに盗まれた時、フーケ討伐任務に同行。しかしそのロングビルこそが、目の前にいる彼女…土くれのフーケだった。しかし…マチルダ?まさか、フーケと言う名前も偽名だったというのか。
あの事件の際、フーケどころか、なぜかあの場所の地中で眠りについていたところを、目を覚まして地面から現れた怪獣ツインテールとグドンの二体を相手にすることになったことを思い出した。その時さっそうと現れて、サイトがゼロに変身してツインテールを撃退している間、シュウ…ウルトラマンネクサスがグドンを倒し、フーケを掌に乗せて連れて帰って行ったことも思い出し、テファとフーケ、この二人とシュウは何か関係があると悟り、デルフを鞘にしまいこんだ。
「姉さんも、ルイズさんも、杖をしまって…」
この時のテファは、泣いていた。どうしたものかとサイトたちを見たマチルダだったが、大切な家族のこんな顔を見たくはない。言われた通り杖をしまった。ルイズもフーケに苦い汁を飲まされた怒りを蘇らせていたのだが、自分に戦うのをやめるよう懇願してきたテファが、エルフも人間も関係ない、争いを好まないただの少女だと言うことを感じた。さすがに罪悪感を覚えたルイズも杖をしまった。
「しかし、どうしてあんたがここに…」
しばらく重苦しい空気によって、沈黙が続いていた。子供たちでさえあまり口を開くことができなかった。長い沈黙が続いていたが、キュルケがそれを破ってマチルダに尋ね出す。
「…あたしは、この村の子供たちとテファの生活費を稼いでるのさ」
「なんですって!?」
(そうか、それであの時、シュウはウルトラマンの姿のままになっても、フーケを守ろうとしていたのか!)
ルイズが驚く中、サイトはフーケ事件の際のシュウの行動の意味を理解した。だとしたら、この二人のどちらかがシュウを召還したメイジという可能性が高い。
「ふざけ…!」
だが、フーケの稼ぎ手段を知っているルイズとしては余計に許し難い。エルフはともあれ、子供たちの生活のために盗賊稼業だなんて、どんな理由でも褒められた話じゃないし、被害にあった貴族も自分たちも屈辱を与えられたのだ。何か言おうとしたのだが、マチルダが遮ってきた。
「あんた…もし喋ったら命はないよ?」
マチルダは殺意を込めた目でルイズを睨み付けた。しかし、ルイズはたじろがない。マチルダの殺意に当てられてなお、虚勢を張ってフーケを睨んだまま突っ立っていた。
「ねえ、サイトさん。姉さんが仕事で何をしていたか知っているの?
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