暁 〜小説投稿サイト〜
ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
過去‐パスト‐part1/少年の悪夢
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線が…こともあろうに父の仕事場である街に、母の買い物用のお出かけ先であった街を、無情にも破壊したのだ。
変わり果てた暁市を見て、サイトは呆然と突っ立っていた。一体どれだけの時間の間突っ立っていたのかサイト本人にはわからないまま、ただその場に立ち尽くしていた。
暁市は酷いありさまとなっていた。さっきまで空を覆ってしまうほど高くそびえていたビルも、戦時中の爆撃機によって破壊されたかのようにボロボロになってしまい、とても原型をとどめていなかった。
「父さん!!母さああああん!!」
お願いだ、お願いだから無事でいてほしい。
サイトは暁市に設けられた応急救護所に急いだ。
応急救護所は酷いことになっていた。ボガールの暴威によって住み慣れた場所を破壊され傷ついた人たちが大勢いた。体中包帯まみれにされて腐臭が漂っていたり…まるで第二次世界大戦の時代にいつの間にか飛んでしまっているのではとすら思えた。
「父さん、母さん!!」
サイトは周囲をかき分けながら両親を探した。自分でも訳が分からないくらい、自分と同じように家族や恋人…大切な人を探し続けている人々をかいくぐりながら、両親を探し続けていた。
耳を澄ませると聞こえてくる。大切な人を失って嘆き悲しむ人々の声が。サイトは耳をふさぎたかった。聞こえると、両親がもうここにはいないのではという不安ばかりが募りそうで嫌だった。でも、そんなことよりも両親を探さなければならない。だから不安を無理やり押し殺して両親を探し続けた。
だが、いつまで探し続けても、生まれたときからずっと一緒だった親の姿は見当たらない。
「どこなんだ、父さん!返事をしてくれ、母さん!!」
必死に呼びかけても返事はない。サイトは周囲を見渡して父と母を探し続けていると、壁に貼られた大きな張り紙を見つけた。
『死亡者名簿』。その通り、死亡した人間の名前を公表するためのもの。サイトは、見たくなかった。でも、その視界にその張り紙を見つけたとき、同時に信じられない名前がそこに記されていた。


平賀義人

平賀夏樹


その二つの名前は、サイトの父と母の名前だった。
瞬間、周囲の音が聞こえなくなった。
サイトは、膝を着いた。つい昨日まで何の変哲もない平和な日常が、一機に脆く崩れ去ったのを思い知った。
「う、うう……うぐ…」
うああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!
サイトは、膝を着いてうずくまり、ただ泣き続けた。
彼はその後、両親がちょうど死亡した場所が、ツルギの光線によって破壊された市街地内だと知り、それ以降……ツルギを憎んだ。サイトは今も昔も、肉体と精神共に人間として未熟すぎた。そんな彼にとって両親の死…つまり生活を支えてくれる存在の抹消は、彼の生活を変えてしまうには十分だった。帰ってきても、夕
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