過去‐パスト‐part1/少年の悪夢
[9/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
スも危険だ。メビウスはボガールの腹に蹴りを叩き込んで怯ませ、直ちにボガールから距離を置いた。
この時のサイトはと言うと、ボガールがメビウスに飛びかかった拍子にビルが破壊されたタイミングで、ボガールの出現場所の近辺にやってきていた。
「はあ…はあ…」
バスもタクシーも住民の避難の関係でほとんど使い物になっておらず、サイトはほぼ自分の足だけで暁市に来ていたために体力切れを引き起こし、ぜーぜーと荒い息を吐き続けていた。バテてる場合じゃない。早く父さんと母さんを見つけ出さなくては…。
一方でメビウスはボガールによって苦戦を強いられている。ボガールは強すぎる捕食本能に比例しているためか、個体の強さもとてつもない。しかも後に進化を遂げてメビウスたちをさんざん苦しめたほどだから厄介極まりない。このままではメビウスが危ない。
瓦礫の中心で、サイトは無性に、本能的に叫んだ。
「ウルトラマン、早く来てくれえええ!!」
聞いたことがある。怪獣頻出期の際は主に新しいウルトラマンが一年おきに現れ、その新米のウルトラマンが危機に陥った時は、稀に先代のウルトラマンが駆けつけて地球の危機を共に救ったとある。なら、今度のメビウスのピンチにも来てくれるはず…いや、来てくれないと困る。このままでは両親やこの街の人々がボガールの餌にされるだけだ。どうか、この危機を脱してくれる存在に来てほしい。サイトはとにかく叫んだ。
すると、映像から青い光が瞬く。光が晴れると、そこにはメビウスとは別の、青い体の巨人が現れたかつてのウルトラマンヒカリ…『ハンターナイト・ツルギ』である。
「青い、ウルトラマン…なのか…?」
これまでのウルトラマンは銀や赤い体を持つ者しかいなかった。まさか、青い体のウルトラマンが出てくるとは思いもしなかった。
当時、青い体のウルトラマンは彼…ツルギが初めてだった。だが、初めての青いウルトラマンということ、鎧を纏っていたために素顔が隠れてしまいウルトラマンかどうかさえも定かでなかったこと、そして何より…次にとったツルギの行動が、地球人の彼に対する不信感を根付かせるに十分すぎた。
『ヌゥウゥウゥ…!!!!』
天に掲げられた右腕の装備『ナイトブレス』に青い電撃がほとばしり、両腕を十字型に組んだツルギの必殺光線が放たれた。
〈ナイトシュート!〉
『ダア!!』
放たれた光線は、すさまじいが単調だった。周囲を顧みないあまりの単調な攻撃は、食うことしか頭にないようなボガールだって甘んじて受けるはずもなく、あっさりと姿を消したことで避けられてしまう。結果…。
ズドオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!
「!!?」
その時のサイトは、目の前の現実が夢のように思えてならなかった。あの光線の構え、あれはどう見ても歴代のウルトラ戦士のそれと全く同じものだ。その光
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ