過去‐パスト‐part1/少年の悪夢
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…」
この時のサイトは義母ではなく、実の父と母の元で暮らしていた。抜けた性格を表すように寝ぼけ眼のサイトはあくびをしながら適当な返事をした。
「何間抜けな返事してんだい。その調子だと、また夜遅くまでゲームやらかしてたんだろ。宿題そっちのけで」
それを言われてサイトはギクッと身をこわばらせた。
「いい。ただでさえあんたは成績が下がってばっかなんだ。また同じ事やったら、ゲームは没収するし、二度と買いに行かせないからね」
「ええ〜?」
「ええ〜、じゃない!!ただでさえ今の時代は大変なことになってんだから…。ほら、わかったら真面目に学校へ行きなさい!」
飯を食いながら、サイトは朝食を平らげ、学生服に着替えて学校へ向かった。直後に、彼の母も買い物袋と鞄を持って直ちに外出した。
サイトは母のいない時間の方が自由になれた感覚があって好きだった。一緒にいるとすぐに小言を並べてくるものだから耳障りで仕方がなかった。そんな小言が飛んでくるだけ幸せであったことに、まだ子供だったサイトは気づかない。
ましてや、その時の会話が自分の母との最期の対面だったとは思いもしなかった。
その日は中間テスト期間で、授業時間は昼までとなっていた。当日はサイトが日直だったため、適当に日誌をかき上げて職員室へ教室の鍵と日誌を提出しにやってきた。
「失礼します、一年B組の平賀才人です。大河先生に用があってきました」
「どうぞ」
入室を許可され、職員室へ入ったサイトは、教師の一人がテレビでニュースを見ているのを見かけた。
『臨時ニュースをお伝えします。現在暁市にてGUYSの作戦行動が開始されました!』
「暁市…!!」
サイトはその街のことを知っていた。母がよくバーゲン品を買うために訪れる街、そして実の父の職場がある街の名前…なにより、彼のいる学校のすぐ近辺の街だ。
「暁市って…すぐ近くじゃないか!すぐに生徒職員に避難を呼びかけないと!」
これには職員室内の教師たちもあわただしくなった。後者のすぐ近くで事件発生ともなると当然のリアクション。すぐさま緊急放送で学校に残っていた生徒たちや職員に校舎から出て直ちに避難先へ向かうように伝わった。
父と母は、無事なのだろうか。不安を募らせるサイト。…いや、GUYSやウルトラマンがいる。きっと大丈夫だ。そう言い聞かせながら自分を落ち着かせようとした。
だが、ニュースのライブ映像に映された、街の中央で巨大な肉の塊が肥大していく姿を見た途端、サイトは抑えきれない感情に駆られた。
「あ、おい平賀!」
日誌を担任の先生の机の上に置いた途端、担任の先生の引き留める声を無視し、鞄を背負って直ちに学校を飛び出していった。
その日、『健啖宇宙人ファントン星人』が食料不足解消のために開発した食品『肥大糧食シーピン929』を地球に落
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