過去‐パスト‐part1/少年の悪夢
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きなかった。ガンダールヴの力でもできなかったし、それ以前に俺はただの地球の一般人だ。
「こんな俺が…いったいどうやって…!」
「そうだよね。結局あなたはガンダールヴの力を持っていても、ウルトラの力を持っていても役に立たない、取り柄『ゼロ』の平賀才人君だもんね」
「あははははははははは!!!!」
「くはははははははは!!!!」
「あはははははははは!!!!」
「きゃはははははははは!!!!」
まだ会って間もないが、これまで人間味にあふれ、共に生き、笑いあった仲間たちの、自分を嘲笑う声を一体どんなに長く聞き続けたことか。サイトの精神は追い詰められていた。
「俺は…ダメだ……………俺は…ダメトラマンだ……」
膝を着き、頭を抱え込んで、サイトは無力な自分を嘆きながらうずくまった。
ワルドを裏切者だと見抜けず、ウェールズたち王党派を守れなかった、ダメな俺。ゼロと違って何か強大な敵を倒せたわけでもない。
もとより、俺にはどんな選択を選ぼうにも選べない。どのみち、俺なんかじゃ皇太子様たち王党派を助け出すだなんて夢のまた夢だったのだ。
―――役立たずの『ゼロ』。それが俺…平賀才人…。
すると、サイトの目の前にいつの間にかワルドが現れていた。ボーっと見上げるサイトを冷笑しながら見下ろすワルドは、レイピア型の杖の先をサイトの喉に突き付ける。
「苦しいか?なら、一思いに楽にしてやろう!」
瞬間、サイトの首が…ワルドの魔法によって跳ね飛ばされた。
「うああああああああああああああああ!!!!」
サイトはガバッと起き上がった。最初まではよかったが、なんて嫌な夢だったことか。汗で額がべっとりと塗りたくられている。
それにしても妙な夢を見ていた気がする。自分の知らない女の子たちやそのうちの一人を人質にとる髭男。そして、青い体のウルトラマン。それから…。
夢の中で、桃色の髪の女の子に召喚されていきなり唇奪われたかと思ったら、いつの間にかウルトラマンに変身して戦ったり、見たこともない銀色の奴まで出てきたりとか…あと…あれ?サイトは夢の内容をよく思い出せなくなっていた。まあ、夢を夢だから別にいいか。
それにしても、ずいぶんと長い夢を見ていたような気がする。夢の中で大冒険でも繰り広げたかのような気分だ。
「…起きよう」
ま、そんなことありえないだろうな。寝ぼけ眼のままサイトはベッドから起き上がって制服に着替え、リビングに向かって行った。
「ほらサイト、さっさと食べて学校へ行きなさい」
サイトの母がせかす。しかし、さっきと異なり…母は『アンヌ』とは別人の女性が彼の母としてそこにいた。
「んああ…」
「今日は母さんもいつものところでバーゲンセール品を買いに家を空けるから、あんたも寝ぼけてばっかいないで」
「へいへい
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