過去‐パスト‐part1/少年の悪夢
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と見てるのかしら?もう八時半ですよ」
八時半。窓から後者が見えるくらい家のすぐ近くに学校があるのならまだいいのだが、あいにくサイトにとって学校とはご近所さんではないから時間的に不味い。そうであったら寝坊しても遅刻になりにくくなって望ましいのだが、嫌いな体育の先生の顔を見たくもないサイトとしては少々迷いが生じてしまう。もし学校の近くに家があったら、いつどんな偶然でその先生の顔を拝むことになるのか見当がつかないし、常に先生たちから見られているような落ち着かない気持ちになる。
「やば、また遅刻!!!」
そうだ、今は学校へ行かなくては!
すぐさまサイトは学校支給のワイシャツを着てその上にネクタイを締め、そして学ランを羽織った。ちなみにサイトは、地球にいた頃は遅刻の常習犯で教師一同の悩みの種だったりした。
「じゃあ母さん、行って来まーーす!!」
二人目の母の家である友里家から飛び出したサイトは、遅刻確定とはいえ、一分でも早く行くために全速力で駆けだした。隣の家の柿木、電柱の脇の自販機。生まれ故郷だからもうとっくになれたのに、とても懐かしくていとおしい。どうしてこんなふうに思えるのだろう。そう思っていると、予想もしなかった声が彼の耳に届く。
「平賀君!!」
振り返ると、見覚えのある少女がそこに立っていた。サイトの学校の女子生徒用制服を着ている、艶のある長い黒髪とルイズたちにも負けないあどけない可愛らしさを持つ同級生、高凪春奈だ。
「あれ、高凪さん!?なんでここに?」
そうだ、どうして彼女がここにいるのだろう。自分が最後に記憶していた限りでは、彼女は自分の家の住所なんて知らないはずだ…とサイトは認知していた。
「え、なんでって…」
思わずそれを聞かれてハルナは頬を染めて困りだした。何やら頭の中でとにかく誤魔化そうと謀っているのが目に見えるが、サイトはそれを察するほど鋭くはない。まさか、夢の中とはいえハルナが自分を迎えに来てくれたとは夢にも思わなかっただろう。
とりあえずハルナは脳内で見つけたサイトへの言い訳を告げた。
「だ、…だって平賀君いっつも学校に遅刻するでしょ!先生たちから何枚切符切られたと思ってるの!?担任の先生もあまりにも困ってるから私に『何とか平賀の遅刻癖を治してくれ』だなんて頼んできたんだから!次からはちゃんと『時間通りに自力で』!起きてよね!?」
『時間通りに自力で』のあたりをやたら強調し、まるで息子を叱る母親のように説教するハルナ。サイトはまさかクラスメートにまで自分の迷惑が及んでいたとは思わず、「す、すみませんでした…」と謝るしかなかった。
「ほら、早くいかないと私まで遅刻扱いになっちゃうから!」
「ちょ…高凪さん、そんなに引っ張ったら…!!」
強引にサイトの手を引っ張って学校に連れて行こうとするハルナと、連れていか
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