第五章
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それでも彼は今はナンシーへの想いを優先させたのである。
「だが揉めてもナンシーしかいない、私には」
その決意は変わりはしない。
「だからだ。明日は」
「その決意の為にも」
「行く、一人でな」
またそれを宣言する。
「わかったな。では」
ここで紅茶とケーキを食べ終えていた。彼はテーブルの上のベルを鳴らしメイドを呼んだ。そのうえでイアンに対して声をかけた。
「下がっていいぞ。愚痴を聞かせて悪かったな」
「いえ。若様の御心を知ることができましたので」
「よかったのか」
「はい。それではまた」
「うん、またな」
二人は言葉を交あわせる。イアンが部屋を出て別れたのであった。
翌日。ナンシーは下校しようとしていた。そんな彼女にクラスメイト達が声をあげる。
「ねえナンシー」
「ボームさん」
ナンシーの姓はボームという。今それを呼ばれたのだ・
「一緒に帰りましょう」
「ええ、わかったわ」
それに頷いたところで少し苦笑いを浮かべる。そして言った。
「校門までね」
「そうね、校門まで」
「後は、ね」
同じ制服を着た女の子達も苦笑いを浮かべる。彼女達もその事情がわかっていたのである。だから彼女達もそれに応えるのであった。
「じゃあ一緒にね、そこまで」
「うん」
女の子達は教室を出て廊下を進む。廊下もかなり寒い。その寒い廊下こそが冬そのものであった。嫌が応にもそれを実感させるものであった。
その寒い廊下を歩きながら女の子達は話をしている。話の中心はナンシーであった。しかも彼女ではなく彼女の婚約者についてであった。
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