第二章
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そのうえで言う。
「何でしょうか」
「済まないな、いつも」
「いえ、これが仕事ですから」
彼は平然としてそれに答える。
「では後程」
「うむ」
こうして彼はイアンの車である場所に向かった。行く先はある女子高であった。
そこに着くとジョゼフだけが車から出る。そして薔薇の花束を手にして立つのであった。
「あれ、あの人」
「ええ」
校門を通り抜ける女子高生達が彼の姿を見て声をあげる。
「グリッジ家の」
「そうよね、あの人」
ジョゼフはかなりの有名人であった。女子高生達には名門の子弟として評判である。しかしこの学校は普通の庶民が通うごく普通の女子高だ。とてもではないが貴族が来るような場所ではないのだ。
「何で来たのかしら」
皆それも不思議に思った。
「一体どうして」
「そうよね。何かありそうだけれど」
しかしジョゼフは平然としてその場に立っている。寒く木の葉もない木々が並ぶ道を黙って立っていた。
暫く校門を見ていたがやがて動いた。ブラウンの髪を肩のところで揃えた緑の目の小柄な少女のところにやって来た。この学校の赤を基調としたブレザーの上に白いコートを羽織ったまだ幼さの残る顔立ちの少女であった。ジョゼフと比べるとまるで兄と妹のようであった。
「やあ、ナンシー」
ジョゼフはその少女に声をかけてきた。にこやかに笑って。
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