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東京百物語
ゆり
二本目★
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立ち、その肩に優しく手を置いていた。その温もりに思わずゆりが青山を見上げると、青山はふわりと優しく微笑んだ。ゆりの頬に流れだした涙を、ターコイズブルーのハンカチでそっと押さえてくれる。青山のハンカチからはお香のような品の良い香りがした。ゆりはくしゃりと顔を歪めて、涙と共に押さえきれない嗚咽を漏らした。憧れている人の前で、女らしさとはかけ離れた顔をしている。けれど二人の優しさがゆりの心に染みて、取り繕うこともできない。迷惑はかけられないと思いながらも、本当は誰かに頼りたかった。助けてと言いたかった。辛かった。ずっと。



「…やれやれ…」



 暫くすると、老婆は眉根を寄せ根負けしたように肩を竦めた。生真面目に頭を下げる山下に向かって、やめろとでも言うように手をひらひらと振った。



「女の子がそんなコメツキバッタみたいにペコペコするじゃないよ」



「でも、でも…っ!」



「わかった。あんたらの気持ちはわかったから…はぁ。…いいカモだと思ったんだが」



 小さい声で老婆は何かをブツクサ言うと、ついてくるよう言い置いて歩き出す。



「ゆりちゃーん?」



 自分の名を呼ばれてゆりは立ちすくんでいたことに気がついた。老婆と山下はとうに遙か先にいた。慌ててきょろきょろと周りを見れば青山が一足前に立っていて、行こうとでも言うように微笑んでいる。



 ゆりは涙を拭いながら、そっと足を踏み出した。
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