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ゾンビの世界は意外に余裕だった
13話、駐車場
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は発見した大量の車両を研究所に運び込む計画に着手している状況なのだが、会うのを先延ばしていた第一兵舎の人達が、第三兵舎のゾンビを攻撃しろって騒いでいるというので、仕方なく第四兵舎に向かう。

「飯山一等兵です」 
「香田巡査部長です」

「この集団のリーダーである斉藤です」

 第一兵舎で救った兵士と警官の二人と、挨拶を交わす。飯山一等兵はまだ二十歳くらいの精悍なつきの青年で、香田巡査部長は四十代前半の温厚そうな人物だ。

 礼儀正しく御礼をたくさん言われて面倒だなと思っていたら、ようやく香田巡査部長が本題に入った。

「斉藤さん。第三兵舎をこのまま放置すると聞きましたが、どうか考え直して下さい。一昨日、あそこにいる部下がライトを振って生存をしらせてきたばかりなのです」

「武装して生き残っているならもう少し待てるでしょう。ところでお二人は私との契約書を読みましたか」 

 俺は要求に応えず、契約書を読んだか確認する。いまのところ第三兵舎の制圧は明日行う予定だ。

「読ませて貰いました。斎藤さんは命の恩人ですし、こういうご時世ですから私は批判をしませんが国は許さないと思います」
「国ですか? そうか香田さんはご存知なかったですね。国は自分達の守る人間を限定しましたよ。ひょっとしたらこの地域はまだ重点防衛区域かもしれませんが」

「まさか……」
「キャリー。政府の記者会見を見せて差し上げろ」

 俺はここにいる全員に現状を知らせた。

「斉藤さん。現状は理解しました。大変なことはわかります。ですがどうか第三兵舎の生存者を救ってください」

 香田巡査部長はいい人なんだろうけど迷惑で契約出来ないタイプな気がしてきた。

「香田巡査部長はどうやら契約してくれないみたいですね」 

 どうせ万人とわかりあえないし無理に契約する気もない。嫌なら契約するなというやつだ。

「待って下さい。部下を救っていただければなんでもやります。どうかお願いします」 

 一応俺は命の恩人らしいし、契約もあくまでも善意で申し出ているつもりだった。まあ、警官の存在はありがたいのも確かだし、第三兵舎の掃討を急ぐか検討する。

「斉藤さん。私もなんでもやります」

 土下座した香田巡査部長に飯山一等兵が土下座する。これでは、俺が完全に悪者だ。しかも、一緒に助けた民間人の青少年達が生暖かい視線を送っている気がする。

「仕方ありませんね。キャリー。大佐に制圧部隊を第三兵舎に回すように伝えてくれ」
「了解です」

 一応、最後に香田巡査部長が部下を見かけた場所を優先させるが、約束を守るためには第三兵舎全体の掃討を同時に行う必要があるだろう。結局レムルス、四等兵一体、S3ニ体、M-27戦闘ロボット八体の計十ニ体を投入した。

「斉藤さん。ありがとうございます」

「あなたは許可が出るまで第三兵舎に
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