第五章 楽園
第2話 不可解な現象
[1/5]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
バン!
という爆発音に似た音があった。
士道と上条は屋上へと続く階段を駆け上がり、そこにあるドアをドンと勢いよく開け放った。
そこはもう始まっていた。
張り詰めた空気の中、1人の少女がたたずんでいた。
十香「し、シドー……当麻……」
夜刀神十香だ。
士道「十香ッ!?」
まばゆく輝く奇妙なドレスーー霊装を纏った十香の身体から紫色の光がゆらゆらと立ち上っている。
十香「シドー……当麻……逃、げろ……ッ!」
士道「んなわけに行くか!!」
上条「くそっ!」
まだ間に合う。そう思い、走り出そうとした時、
士道「っ!?」
身体が思うように前に進まなかった。
上条「士道!?」
士道「俺は、いいから……早く、十香、を……」
上条「くっ……分かった!」
士道は十香から何か吸い寄せられるような錯覚に陥った。それと同時に足に重い鉄枷をつけられたみたいに思うように前に進まなかった。
上条は十香の元へと駆け出す。
その時、
上条「ーーっ!?」
突如、右腕が『龍の顎』に変化した。自分は何も意識もしていないはずなのに……
だが、その『龍の顎』は意思を持っているかのように十香を襲おうとしている。
上条「くっ……!」
上条にも訳が分からなかった。こんなことは修行の時でもなかったはずだ。
理由は分からないが、とりあえず『龍の顎』を引っ込めようと全力を注ぐ。
上条「あああぁぁぁぁッ!!!」
引っ込めようとすればするほど、身体の神経がマヒしそうな痛みが右腕を中心に襲いかかった。
身体の魔力の流れが一気におかしくなった。
頭と身体の処理が追いつかず、上条はその場に倒れてしまった。
士道「上条!?」
呼んでも返事はない。右腕は『龍の顎』のままだった。
上条が倒れた以上、ここで立ち止まるわけにはいかない。
一歩、一歩確実に、十香の方へ向かう。
十香「来ては、ダメだ……シドー……!きては、シドーまで……!」
士道「お前を、1人に……なん、か……」
地を這いつくばるように、歩いていく。
十香「シドー……!おま、え、を……こ……した、く……ない……ッ!!」
声にならない声で叫ぶ。身体からのオーラは大きくなっている。
少しでも気を抜けば吹き飛ばされそうだ。それを懸命に堪える。
刹那、
士道の身体の中から、得体の知れない『力』が一気に流れ出した。
それに呼応するかのように〈サンダルフォン〉が輝きだした。
士道「(このままじゃ十香が……)」
士道は懸命に手を前に出す。
士道「十香ぁぁぁぁぁッッ!!!」
十香「シドォォォォー
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ