#13『セカンドリベリオン』:2
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「…………」
「…………」
「どうです?素晴らしいでしょう?」
得意げにドヤ顔を決めるリビーラの隣で、絶句するのはメイとシュート。なぜこの二人が絶句しているかと言うと、基地の整備ドッグに、新たなソーサーが用意されていたからである。
銀色の車体に、流線形のウイング。背部に取り付けられた重力反転機関は小型化に成功し、さらに基数が増やされている。全体的なフォルムも鋭くなり、どことなくスマートな雰囲気を醸し出す。
おおざっぱな見た目は、メイが初めてキングの元へ来た時に乗ったソーサーとよく似ているが、専門的な知識があるシュートと、ただのファンと言うには少々度を越しているメイはその違いを見抜くことができた。
「ディヴァイン工房製306年型ソーサー《王都》限定モデル……」
「同型の304年型をはるかに引き離す性能と、数段アップした扱いやすさを誇る、《王都》でも有数の裕福層しか所持していない完全受注モデル――――何でこんなものが、うちの倉庫にあるんです!?」
飽いた口がふさがらないメイに対し、珍しく動揺をあらわにしてリビーラに詰め寄るシュート。そんな二人の反応を楽しげに見つめて、リビーラは答えを出す。
「いえ、《教会》高官の特権で、普通に買いました」
「……」
「……」
再びの沈黙。それは身元も定かではないリビーラに工房が限定車両を売ってくれたことに対する驚愕、そんな金がどこから出たのかというメイの恐怖、そもそもリビーラに真面目な買い物ができたという事に対するシュートの戦慄そのほかもろもろetcがまじりあったものであった。
「……ねぇクロート、そんなにこれってすごいモノなの?」
いぶかしげに問うのはククリだ。寝起きなのかぼんやりした調子でシュートに言う。ちなみに現在、シュートのことを「クロート」とファーストネームで呼ぶのはククリだけだったりする。
「当たり前だ。いいか……」
シュートが珍しく熱っぽく語り始める。それを聞きながら、メイも自分が持っている知識を頭の中で反芻する。
ディヴァイン工房は、《ラグ・ナレク》以前から《教会》の巨大組織としての側面を象徴する会社でもあった。この工房は、《教会》の発注したあらゆる機械を作成する。
《箱舟》システムの中心となっている重力反転システムを可能とする動力炉を作っているのも彼らだし、そもそも巨大な機械の船である《箱舟》本体自体が、ディヴァイン工房…《ラグ・ナレク》以前は《ディヴァイン・マイティ・カンパニー》と名乗っていたらしい…によって作成されたものなのだ。もっとも、《箱舟》システムの理論自体は当時の《教会》が発表した物らしいが……。
今はソーサーを作る工房としての性格が強いが、《ラグ・ナレク》以前の世界ではかな
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