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屋敷を出て私の故郷である木の葉隠れの里を散策していると、恐らくこの里でもっとも有名であろう少年が教師達から逃げ回っていた。見たところ、里の長である火影の顔を掘った岩にまたもや落書きを行ったようだな。
ふむ、明らかな強がりでしかないとはいえ、あそこまで自己アピールができるというのは中々結構なことじゃないか。私個人としては好意を持てる人間だが……少々力不足ではあるな。
「ナルト!!」
私は彼の名を呼び、私の存在に気付かせる。すると、彼はこちらに一直線に来た。
「ウサギのねーちゃん!?今、おれってば逃げてるんだってばよ!!用事があるなら……」
「少し静かにしていたまえ、いつもの場所で待っていろ」
ナルトの口を塞ぎ路地裏に押し込んでから、私は変化の術をかけてナルトに化ける。
なに、普段は離れで本を読む耽っていり私とてたまに体を動かしたい時もあるのだ。白眼を使用し、自分の体を確認する。
そして、体の具合を確認して一目散に駆け出す。教師達は私をナルトだと誤解したまま私を追い続ける。
さて、楽しい鬼事の始まりだぞ、鬼さんこちら、手のなる方へっと!!
単純な速さ比べとなると私のような子供の脚力では勝てる道理はないが、子供には子供なりの強みがある。具体的に挙げれば、小回り、身軽さ、小柄さだ。
それを活かす環境となると人混みが最適なのだが、ナルトの姿ではその人混み全てが敵となってしまう。
数年前九尾の妖狐がこの里を襲い、里を崩壊させかける事件があったらしい。それを収めるにあたり、四代目火影が命を対価に何かの術をもってして九尾をナルトに封じ込めたそうだ。
で、その時の九尾がナルトの中にいるということで彼は迫害を受けているのだ。全く愚かな話だ。
少しは他国へ目を向ける事を学ぶべきだなこの里の人間は。他の里は九尾のような化け物、尾獣を封印している人間を人柱力と呼び軍事力して考えている。
当然の話だ。そこに尽きぬ泉があるというのに、それを恐れて遠ざけるなど愚か者以外の何者でもない。そこから湧き出る水がいくら血に染まっていようと水は水、使い方次第でいかようにもなる。
それに下手に人柱力を迫害し、何かの拍子に自害でもすれば九尾は解放されて元の木阿弥だ。加えて、恨み買うような真似をすれば仮に尾獣を手懐ける手段を得た時、尽きぬ泉は明確な意思を持って敵対者を飲み込むだろうよ。
……いかんな、頭に血が上りかけた。こんな人の多いところで我を忘れてしまう訳にはいかん。
こういう時はヒナタの事でも考えて気持ちを落ち着けよう。まったく……我が事ながら私は実に人間ができていないな。もし仮にヒナタはいなければ今頃私はただの殺人鬼になっていた可能性が……いや、なっていたな確実に。
そんな益体のない事を考えている内に私は目指していた小さな森
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