旧校舎のディアボロス
一章
第四話 はじめてのお仕事です!
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音楽には疎いですが恭介さんのバイオリン聞いてみたいです」
「え?でもさっき腕治してもらったばかりだし、何よりご近所に迷惑が……」
「フフフ、俺を甘く見ないでください。防音用結界なんて朝飯前、腕だってもう完治してるんですから。一曲や二曲医者的に見てもオールオッケーです」
「そ、そうなんですか?そ、それじゃあ……」
恭介はそういうと物置からバイオリンを取り出した。きっとなかなか捨てられなかったのであろう。そしてケースを開けるとそのバイオリンは綺麗に手入れされていた。恭介自身は事故に合ってからほとんどケースに触ることすらなかったらしいが手入れをしてくれたのはきっと桜だろう。
その後恭介はバイオリンを手に取り演奏してくれた。その曲はどんな曲名で一体誰が、何時、どこで、どんなことを思って作ったのかわ分からない。だけどどこか懐かしくとても落ち着く。そんな曲調だった。
演奏が終わると俺は自然と拍手をした。だが俺とは別にもう一つ拍手の音がした。その音がする方向を向くとそこには桜が居た。
「す、すみません。立ち聞きなんかしてしまって………」
いきなり謝られてしまった。俺も恭介もそんなつもりは一切なかったのだが……
「俺は別に構いませんよ。それよりも恭介さんの腕と同等の価値のある物はありましたか?」
「そ、それが………」
「「ん?」」
桜は何故か歯切れが悪かった。俺と恭介が不思議そうに話しの続きを待っていると続きはある意味予想通りの答えだった。
「兄さんの腕と同等の対価なんて分からなくてまだ見つかってないんです。すみません!」
「それは、困りましたね………」
俺も顎に手を当てどうするかを考えた。基本的には対価なんて何でもよいらしいのだがあくまで願いと同等かそれ以上でないといけないと部長も言っていた。ここまでして契約出来なかったでは俺の今後の沽券にかかわる問題でもあるわけだがどうしたものか………
俺がそんな感じで唸っていると恭介が手を挙げ「あの提案があるんですが」と切り出した。
「提案とは何ですか恭介さん?」
「はい。提案というのは僕から対価を払っても構わないかということです。どうでしょうか?」
「………本当は本人からが良いんですが、いいでしょう特別に容認します。それで貴方の腕と同等の対価は何ですか」
俺が問うと恭介は先ほど持っていたバイオリンをケースに仕舞いそのケースを俺に突き出した。
「なぜそのバイオリンが貴方の腕と同等の価値があるんですか?」
「僕にとってバイオリンとは僕の人生と言っても過言ではありません。ですが僕は腕を負傷したことにより僕の人生は終わりを迎えたともいえます。ですが今回貴方にこの腕を治したことにより僕の人生にまた光が見いだせました。このバイオリンも負傷する前から使っていた
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