下忍編
親心
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カトナがいじってしまったため、カトナが意識的にはまだ無理だが、無意識的に、それこそ感情の暴走で九尾の力を利用できるようになっているのだろう。
カトナのチャクラコントロールは、例えいきなり自分が扱うチャクラの量が膨大になったとしても、その能力は際限なく発揮される。つまりは、ほぼ無敵状態になる。
おさえ込もうとして抑え込めれるレベルをとうに越している。
…三代目に封印式を再構築して貰うように頼まなきゃなぁ、とのんびりと思いながら、包帯を巻くカトナを見ていた再不斬はふと、昔のことを思い出した。
再不斬。その名前のとおり、一度切りあった人間を再び斬ることはない…つまり殺してしまう。鬼人、人殺し、霧隠れが生んだ怪物。つけられた名前はそんなもので…。
忍の強さは時に嫌われ疎まれる。再不斬の強さもまた嫌われて疎まれて、彼は周りにとって、必要ない存在だった。
最初に、そんな彼の傍に来たのは、哀れにも運命に翻弄され、親に殺されかけた、脆い、子供だった。
脆く細く、何よりも弱弱しく。それなのに、再不斬に比べれば、とても素晴らしい才能を持ち、意思を持った強い少年だった。
その姿を見た時、雪の様だと、再不斬は思った。
純粋で、世の中の汚れを見てきたはずなのに、彼自身には汚れが一つもなく、いくら汚されても溶けて消え、そしてもう一度、白く生まれ変わる雪の様だと思った。
儚いようで強く、その姿を見たままのように脆く、美しい存在。
『白』とそう呼べば、彼は嬉しそうに自分に向かって振り返り、名を呼んだ。
「再不斬さん」
再不斬の名前を、本当に幸せそうに呼ぶから、まるで再不斬を何よりも大切な物のように扱って、子供が親に向けるような、理由のない尊敬と圧倒的な密度の愛情を向けてくるのだから、いつの間にか絆されて、許された。
その次に、再不斬の手を握ったのは、自らの力を恐れられ、親に見捨てられた、儚い子供だった。
出会いは最悪で、いきなり血継限界で襲いかかられたときは、うっかり殺してしまうところだった。
強いのに弱く、あまりにも動きは単調で戦いなれていなくて、興味を示した再不斬が差し伸べた手を、彼はとった。
白とは正反対で、なのに、良く似ていると思わせてしまう存在だった。
『君麻呂』と呼べば、彼は目を何度か瞬かせ、そして無表情のまま、再不斬の前に傅き、名前を呼ぶ。
「何か御用ですか、再不斬さん」
再不斬をまるで王のように崇め、自分が生きる意味だと扱う彼に危うさを感じ、それ以上に、自分を崇めるその信頼に、屈託なく屈折なく、まっすぐに向けられるその思いに、彼の心は溶かされた。
そうやって二人を手に入れて、霧を抜け、追い忍を殺し、時には依頼をこなし、人を殺し、着々と力をつけていた時、
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