第二章
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第二章
「それは」
「お友達は駄目なんじゃないの?」
「それはね」
またここで皆が言う。
「だってねえ。恋人だし」
「それをしていいのは」
「だからね。お友達はね」
「違うんじゃないかしら」
「えっ、違うの」
隆子はそれを聞いて考える顔になった。そうして言うのだった。
「じゃあ女の子同士は恋人には」
「普通はないんじゃない?」
「ねえ」
このことも話された。
「ちょっとねえ」
「それは」
「ううん、ないの」
それを聞いてだった。また考える顔になった隆子だった。
「女の子同士で恋人は」
「だから普通はないでしょ」
「女の子同士で恋人って」
このことはかなり真面目に話された。
「男の子と女の子ならあるけれど」
「それってねえ」
「同性愛じゃない」
「普通じゃないわよ」
「だから駄目なのね」
隆子はここまで聞いて顔を少し俯けさせた。
「それは」
「そう思うわよ」
「やっぱりね。男の子と女の子」
「それはね」
「私お兄ちゃんいるけれど」
隆子は今度は自分の兄のことをその話しに出してきた。
「お兄ちゃんとは」
「兄妹同士も駄目でしょ」
「それもよ」
「えっ、それも駄目なの」
隆子はきょとんとした顔になった。
「兄妹でも」
「だから。家族やお友達じゃなくて」
「恋人が相手よ」
「そうした相手とよ、キスはね」
「するものじゃないかしら」
皆はこう話す。
「だから。隆子ちゃんもね」
「そういう相手を見つけるべきじゃない?」
「ねえ」
「そうするべきなのよ」
「ううん、そうなの」
隆子はまたしても考える顔になった。
「誰かをね」
「そういうことじゃないかしら」
「ねえ」
「やっぱりね」
「男の子ね」
隆子の頭の中にこのことが残った。そうしてであった。
ある日だ。同じクラスの岩崎琢磨にだ。こう言ったのであった。
「ねえ岩崎君」
「んっ、どうしたの?」
クラスの中で最も穏やかな男子生徒である。その彼に声をかけたのだ。
「あのね、これからね」
「これから?」
「恋人になって」
こう彼に言ったのである。
「それでいいわよね」
「あの、恋人って」
「何か。恋人同士になるとね」
「この前の先生の話?」
「キスができるようになるって聞いたから」
それでだというのだ。
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