第一章
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第一章
大人のキス
「いいかい、キスってものはね」
先生が子供達に話していた。
「そうそうなことではできないものなんだよ」
「そうそうって?」
「どうしてなんですか?」
「お互いが好きにならないとできないからだよ」
だからだと。まだ小学校四年の子供達に話すのである。
「だからなんだよ」
「だからなんですか」
「それで」
「そうだよ。キスは好きな人とするんだよ」
先生はまた話した。
「嫌いな人とはできないんだ」
「どうしてなんですか?」
子供達は先生の今の言葉に質問した。教室のホームルームの時間の中の些細な話である。だが皆真剣に先生の話を聞いている。
「嫌いな人とはできないんですか?」
「どうしてなんですか?」
「それはね。好きじゃないと心が動かないからだよ」
先生はだからだと話す。
「それでなんだよ」
「それでなですか」
「好きな人とだけ」
「キスできないんですか」
「そうだよ。だからいいね」
先生は子供達にさらに話す。
「皆も好きな人ができたらね」
「キスできるんですね」
「その時は」
「うん、そうだよ」
その通りだと話すのだった。
「逆に言えば好きな人がいないとキスはできないんだよ」
「そうなんですか」
「何か難しいですね」
「そうですよね」
子供達はそれを聞いて考える顔になった。そうしてだった。
ホームルームの後でだ。女の子達が集まって話すのだった。
「キスってそうなんだね」
「好きな人とじゃないとできないんだ」
「そうなんだ」
「そういうものなんだね」
こうそれぞれ話す。そしてその中でだ。
石黒隆子がだ。こう言うのだった。
「それじゃあだけれど」
「それじゃあって?」
「隆子ちゃん、どうしたの?」
「お父さんやお母さんとだったらいいのかな」
「キスしていいって?」
「そう言うの?」
「ええ、それはどうなのかしら」
こう皆に尋ねるのだった。
「それは」
「ううん、どうかな」
「それって」
周りはその彼の言葉に首を傾げさせて言った。
「先生の言葉って何か違うみたいよ」
「どうやらね」
「違うの?」
隆子はその皆に問い返した。
「お父さんやお母さんにじゃないの?」
「恋人とかじゃないの?」
「つまり彼氏ね」
皆はこう話すのだった。
「そうじゃないかしら」
「ねえ」
「じゃあ」
隆子はその皆の言葉を聞いてだ。また言うのだった。
「あれ?」
「あれって?」
「まだ何かあるの?」
「私と美奈子ちゃん」
今度は親友の美奈子を見てだ。そして言ったのである。この場にその美奈子もいるのだ。黒く長い髪の可愛らしい女の子だ。
「私美
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