第二十二話 菊の日常その五
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「だから今からそうしたことを話されても」
「ちょっとね」
「困るわよね、やっぱり」
「そう言われても」
「うん、しかもね」
菊もちょっと、という笑顔で言うのだった。
「花嫁衣装もあるっていうから」
「金襴緞子ね」
「和服ね」
「そう、お母さんのね」
それもあるからだというのだ。
「それがあるからって」
「いい人を見付けたら」
「その時は」
「そう、お父さんがその相手の人に嫌味を言って」
そして、というのだ。
「それから認めるらしいのよ」
「うわ、様式美」
「ちょっと古典的な位にねえ」
「菊ちゃんのお父さんもね」
「相当楽しみにしてるわね」
娘の結婚をだというのだ。
「何かね」
「子煩悩っていうかね」
「菊ちゃん大事にしてるのね」
「それもかなり」
「そうなの、私ってね」
菊はここで自分のことも話した。
「実の娘じゃないけれどね」
「あっ、そうだったわね」
「菊ちゃん自分でそのこと言ってるわよね」
「やっぱりご両親もお兄さん達もわかってて」
「そのうえでなのね」
「そうなのよ、ずっと可愛がってくれてるのよ」
娘として、というのだ。
「有り難いことにね」
「いい家庭ね」
「そうよね」
「よく継子いじめとかいう話あるけれど」
「そういうのもなくて」
「うん、子供の頃から邪険にされたとかはね」
そうしたことはというのだ。
「一度もなかったわ」
「それいいわね」
「暖かい家庭っていうのは」
「それがまず第一の幸せっていうけれど」
「菊ちゃんにとってもそうなのね」
「私もそう思うわ、だからね」
菊自身も微笑んで言う。
「絶対にいい人見付けて」
「そしてよね」
「結婚するのね」
「ええ、それでもっと幸せになるわ」
今以上にというのだ。
「これからね」
「それが菊ちゃんの夢ね」
「幸せになることが」
「そうなの」
その通りだとだ、菊も答える。
「私そうなるから」
「ううん、女の子ねえ」
クラスメイトの一人が菊の今の言葉を受けて微笑んでこう言った。
「菊ちゃんもね」
「何か私それ最近お家でも言われるけれど」
「女の子って」
「そう、女の子らしくなってきたってね」
「やっぱりご家族ね」
そのクラスメイトは微笑んでこうも言った。
「そこは」
「そうかしら」
「ええ、菊ちゃんのことよく見てるわ」
「私実際に女の子らしくなってきたかしら」
「入学した時の菊ちゃんってね」
その時の彼女はというと。
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