第二十二話 菊の日常その二
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「それじゃあその後で」
「一緒にな」
「飯食おうな」
「うん、じゃあね」
こう話してだった、そして。
菊は素早く何人も一緒に入られるだけの大きさの風呂場でシャワーを浴び身体を洗い髪の毛も綺麗にしてだ、それからだった。
風呂を出て下着を着ける。下着は上下共ライトイエローだ。その下着の上から用意していた制服を着てだった。
兄達に風呂場を空けた、それから少し家の居間でくつろいでいると。
兄達が出て来た、そして。
逞しい初老の男が居間に来た、その彼は。
「お父さんおはよう」
「ああ、おはよう」
初老の男も背が高い、その彼が言って来た。
「朝の修行は終わったな」
「終わってシャワー浴びてね」
「朝飯か」
「これからね」
「そうか、じゃあ丁渡いいな」
父は娘のその話を聞いて笑顔でこう言った。
「お父さんも一仕事終わったところだしな」
「それじゃあ」
「ああ、見付けてきたぞ」
仕事の依頼であるその猫をというのだ。
「それで今はバスケットの中だ」
「そう、よかったわね」
「猫とか犬を捜すことはな」
「コツよね」
「捕まえることもな」
こちらもそれだというのだ。
「結局はどっちもな」
「コツなのね」
「そういうことも忍術だとな」
コツを身に着けることもだというのだ、犬や猫を見付けて捕まえるそれも。
「簡単に身に着けられるからな」
「忍術は探偵業にもってこいなのね」
「そうだ、戦うんじゃなくてな」
「隠れてよね」
「そして駆けてな」
まさに風の様にだ。
「大地とも同化してな」
「地ね」
ここで菊は自分の力のことを考えたがそれはあえて言わずそのうえで父との話を続けた。
「それにもね」
「そうだ、そうしてな」
「迷い犬や猫を捜して」
「浮気調査もな」
「浮気調査ねえ、それも大事な仕事なのよね」
探偵業においてはだ。
「やっぱりしないと駄目よね」
「ああ、綺麗な仕事じゃないがな」
「そうよね。とにかくね」
「今回の仕事は済んだ」
無事に迷い猫を見付けて保護したというのだ。
「よかったよかった。それでな」
「一仕事の後で」
「御前達は修行の後でな」
「御飯ね」
「さて、今日の朝は何だろうな」
父はそのことを実に楽しみにしている顔で言う。
「やっぱり朝からしっかり食わないとな」
「駄目よね」
「確かに忍者は身体が重いと駄目だ」
俊敏さが勝負だからだ、このことは古来からである。
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