第二十二話 菊の日常その一
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美しき異形達
第二十二話 菊の日常
菊は朝起きてすぐにジャージに着替えて家の道場に入った、するとそこにはもう兄達がいて柔軟体操をしていた。
兄達はその菊にだ、少し咎める声でこう言って来た。
「菊、ちょっと遅くないか?」
「今日はな」
「遅いって五時じゃない」
道場の壁の時計を見ると丁渡その時間だった。
「いつも通りよ」
「ああ、そうか」
「俺達が早いだけか」
「それだけか」
「そうよ、五時よ」
朝の五時だからだというのだ。
「いつもこの時間じゃない」
「まあそうだな」
「言われてみればな」
「そうなるか」
「そうでしょ。それでお父さんは?」
菊は黄色のジャージ姿で柔軟体操に入りながら兄達に問うた。
「どうしたの?」
「親父は仕事だよ」
「朝からな」
兄達はこう妹に返した。
「ちょっとな」
「それで出て行ったよ」
「ああ、迷い猫の搜索ね」
探偵の重要な仕事の一つである、他には浮気調査等がある。探偵の仕事は案外地味なものであるのだ。
「そっちね」
「それに出てるからな」
「今日の朝の修行は後でするんだってよ」
「猫を見付けてからな」
「そうなのね。まあお父さんならね」
父ならというのだ。
「迷い猫位はね」
「親父猫捜し得意だからな」
「どんな猫でも見付けられるからな」
「それも簡単にな」
「そうよね。昨日来た依頼だけれど」
その依頼をというのだ。
「すぐに終わらせるつもりなのね」
「浮気調査も入ってるからな」
「昨日そっちも来たからな」
だからだというのだ。
「猫捜しをすぐに終わらせてな」
「そっちをしたいんだってな」
「もう四時には出たらしいぜ、お袋の話だと」
兄達は口々に言う、見れば三人共精悍な顔立ちで均整の取れた身体つきだ。ただ背は三人共菊よりそれぞれ二十センチ以上高い。
その兄達を見つつだ、菊は言うのだった。
「そうなのね、それでお母さんはやっぱり」
「ああ、飯作ってくれてるからな」
「家事もしてな」
「修行が終わったら飯だぜ」
「そうね、いつも通りね」
それでというのだ。
「楽しみね」
「じゃあ美味い飯食う為にな」
「朝の修行だ」
「今日も思いきり走るぞ」
「ええ、そうするわ」
菊は柔軟体操で寝ていて硬くなっていた身体をほぐしてだ、そのうえで。
兄達と共に道場を出て走る、十キロ走りそれからだった。
家に戻りシャワーを浴びる、だがここで。
菊は兄達にだ、こう言われた。
「じゃあ最初は御前が入れ」
「俺達は後で三人一度に入るからな」
「いつも思うけれど私が最初なのね」
シャワーを浴びるのは、というのだ。
「そうなのね」
「当
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