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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
第九八幕 「流されるままに」
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段に変わっていた。2人の足音が響くだけの、恐ろしく空虚で静かな世界。こつこつ、こつこつ、足音ばかりが耳に届く。
お笑い草だったぞ、織斑一夏。お前は姉どころか同級生や幼馴染にも勝てない。前に一本取ったのだってISの性能差と偶然が重なったようなものだった。結局のところその辺りがお似合いなんだろう。弱いくせに出しゃばるから。
挙句の果て、最後が助けたISに撃たれて墜落だと?お笑いを通り越して滑稽だ。
そんな滑稽な人間を、ベルーナは一体どこへ連れて行く気なのだろう。そう疑問に思った俺の目の前には――
「何だ、これ。門・・・なのか?」
巨大な巨大な、黒い門。階段の先にあったのは、虚空に浮かぶ黒い門だった。
不意に、ベルーナが俺の手を離して門の前に立つ。人差し指でそっと門を触り、鉄の擦れる重苦しい音を立てて門が小さく開いた。その隙間から溢れる光がまぶしくて、暖かくて、包まれるようで――
「この先に行けば、俺は悩まないのかな。惨めな気持ちにもならないのかな」
自然と、そう呟いていた。
ベルーナは答えない。
ただ、門の先を指さすだけだった。
叶わない夢ほど身を焦がすものはない。
俺が千冬姉を守るなんて、土台無理な話だったんだろう。
出来ない事は、出来ない。無理だ。敵う訳が無い。
だから、ベルーナが道を示しているんだ。
一夏はゆっくりと、その門の先へ足を踏み入れ――
「やってくれたじゃねえか、てめぇ・・・ッ!!」
ドスの利いた、殺意が滲み出る声にはっと後ろを振り返る。この声は聞いたことがあった。
だってこの声は――俺の声なのだから。
「そうかよ、この時を狙ってたわけだな、てめえは?確かに白式が大きなダメージを受けた今、”ガキんちょ”はこっちにまでは手が回らない。戦いで気が高ぶってなければ俺も出て来にくい。そう踏んだ上で・・・・・・一夏を『そっち』に連れて行こうって訳だ!」
ポケットに手を突っ込んで犬歯を剥き出しにして怒りを露わにするその男の顔は、紛うことなき織斑一夏。今までに2回、一夏と”この一夏”は出会ったことがあった。だが、軽薄で醜悪な笑みを浮かべているその男は、身を焦がす烈火のように怒り狂った瞳でつかつかと2人に歩み寄る。
「気に入らねえ、気に入らねえ、気に入らねえッ!!全く気に入らねえ!!餓鬼の姿して、
一夏
(
おれ
)
を惑わせて、それで”そっち”に連れてきてからお前の言う『一夏』に
一夏
(
おれ
)
を仕立て上げようってかぁ!?姑息なんだよ、やることが!!」
「・・・・・・・・・」
その剣幕に微塵も動揺を見せないベルーナ。だが、発したのはあの一言。
「――お前も、お前が認識するお前も、一夏ではない」
その言葉の意味も、今の俺では分からない。
顔と顔が触れる寸前ま
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