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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
第九八幕 「流されるままに」
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られるまでは。

「え」

スラスタ内に充てんされた光の意味に、一夏は気付けなかった。
理解が追い付かないまま、先ほど放たれたエネルギー弾と同じものが一夏の上半身に降り注ぎ、視界が真っ白に染まった。同時に、猛烈な衝撃。
為す術もなく弾丸が命中した白式は、煙を噴きながら落下していった。

「い、一夏!!」

突然の暴挙に感情が麻痺しそうになりながらも箒は紅椿を駆って一夏の下へ加速する。白式がピクリとも動かない所を見るとさっきの至近距離射撃の衝撃で意識を失ったのかもしれない。放っておくのは危険だった。
そしてそんな箒をカバーするように後ろを続いたセシリアは、その鋭敏すぎるほどの感性でゴスペルの意志を感じていた。

「これは・・・怖がっている?刺すほどの敵意と震え・・・脅威を全て退ける事で操縦者を守る気ですか?」

ゴスペルのバイザーに次々に数字や英単語の羅列が走り、その文字が段々と赤く染まっていく。と、同時にデータリンクによって「ゴスペルのシールドエネルギーが回復していく」のを確認した。
ひとりでにISのエネルギーが回復することなど普通はあり得ない。だが、セシリアにはそのエネルギーの源に心当たりがあった。――形態移行時にISの構造を組み替えるエネルギーは、実はバリアエネルギーを一切消費しない。つまりISには、もともとそのような力が秘められているのだ。今回のこれは、そのISの謎の一つという事だろう。

「・・・予想外の事態が起こりすぎました。それに、一夏さんがこれでは庇いながらの戦闘など・・・」

セシリアは静かに本部へと連絡を取った。
任務失敗。保護対象が暴走し、白式が戦闘不能になった、と。



 = =



黒いヘドロと、白い床。モノクロで形成された世界。

気が付けば、俺はそこを歩いていた。こつり、こつり、大理石のような白い床に靴がぶつかって振動が体を揺らす。何故歩いているのかも何所に向かっているのかも、今の俺には分からない。ただ、暖かくて小さな手が俺の手を引いていた。

一歩前を、俺の手を引いて歩く背中。小柄だ。
歩くたびに癖のある銀髪が小さく揺れる。
銀髪――ああ、ベルーナか。
ベルーナに導かれているのだ。今の俺は、彼に導かれている。どうして導かれているんだったかと考えを巡らすと、不意に海面に落ちていく自分の姿を幻視した。――そうか、俺は負けたんだ。

実力で負けている幼馴染の剣士と、全く歯が立たない同級生。
その2人に並んで人を助けるために突っ走って、見事に足手纏いになった。
囮くらいしか役に立たない状況になり、しかも人を助けている所為でその囮にもなれない。

それじゃ何のためにISに乗ったんだろう。俺はただ、大切な人を助けたいから――

気が付けば、白い床は階
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