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魔法科高校の神童生
Episode30:正義の味方
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った? 正義の味方…? そんなもの、いるはずがないのに……」

そもそも、絶対的悪のいないこの世界において、正義の定義なんてない。なにかを守ろうとするなら、他のなにかを犠牲にしなくてはならない世界で、正義の味方が成立するはずもない。

正義の味方とはつまりは全てを救い、導く者のこと。誰一人の取り零しもなく、全てを救い続けるもの。
けど、そんなことは不可能だ。より多くを救おうともがけばもがく程、取り零してしまう者も多くなる。
だから、真の正義の味方は存在しない。

忘れるな、大を救うには小を切り捨てなければならない。取り零される者は必ず存在する。それこそが、今まで俺が殺してきた人達であり、これから殺して行く人達だ。

忘れるな、正義の味方はいない。故に俺はそんな存在になることはできない。

忘れろ、正義の味方に憧れたあの時の感情を。



「俺は……暗殺者だ…」



☆★☆★



「俺は……暗殺者だ…」

聞こえてきた苦しそうな声に、目が覚める。
いつか聞いたことのあるような、精一杯絞り出したかのような、酷く頼りない声。
見上げた先の暗闇の中に、かつて囚われていた私を守ってくれた『正義の味方(ヒト)』を幻視した。

「……おにぃ…?」

私の呟きに、彼はこちらを見て笑みを浮かべた。

「ごめんね、起こしちゃった」

そう言う(先輩)からは、既に彼の面影はなくなっていた。



☆★☆★



どうやらエリナを起こしてしまったみたいだ。寝惚け眼を擦るエリナに謝罪して、笑みを浮かべる。

「寝ちゃっててごめんねエリナ。困ったでしょ?」

「あ、いえ、問題ないですよ。私も眠かったんで」

勿論それは俺を気遣って言ってくれたのだろう。そんな彼女の心遣いに感謝しながら、寝癖だった髪の毛を撫で付ける。

「うん、ちょうど森崎君もいないし、成果を聞こうか。大丈夫?」

「はい、大丈夫です。日本にいる無頭竜の中で、九校戦にちょっかいを出してきそうなとこのアジトですよね?」

そう、俺がエリナに依頼したのは、今回の九校戦に対して害を為すであろう無頭竜のアジトに位置。
九校戦が富士演習場で行われるのだから、そう遠くない所にアジトがあるところまでは予測できたのだけど、九十九の人脈だけではその特定まではできなかった。流石に、無頭竜のような犯罪組織ともなると情報の隠蔽が上手い。

「結果的に言って、恐らく無頭竜の東日本支部であるとみて間違いないと思います」

「東日本…ということは西日本支部みたいのもあるのか」

「そうですね。今確認できているのは東と西の二つです」

移動中にあったトラック事故の首謀者が無頭竜だったことや、これまでの調べで無頭
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