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魔法科高校の神童生
Episode30:正義の味方
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以上市原先輩を責めるというのなら」

「クク、物騒、だな。拳を降ろせ、九十九隼人…お前と、争うつもりは、ない……今は、な」

背を向けた聖一に、隼人は鋭い視線を向けた。今は争うつもりはない。ならば、いつか戦う時が来る。だったら今ここで殺してしまった方が良いのではないかと。
そこまで考えて、隼人はその思考を棄てた。ここで争えば間違いなくどちらかが死ぬ。そうなれば九校戦は中止になり、下手をすれば他の人達を巻き込まんでしまう可能性もある。ここで戦うのは賢明ではない、そう判断し、隼人は戦闘態勢を解いた。

「……クク…じゃあ、な」

スゥッ、とまるで消えるように紫道聖一は隼人達から遠ざかった。


「市原先輩、大丈夫ですか?」

紫道聖一がいなくなって、隼人は隣に立つ鈴音を見た。

「ええ、大丈夫です。少し、驚いただけですから」

いつの間にか、彼女から震えは消えていた。まだ少し顔色は悪いが、先程と比べれば大分マシである。
そこで先程紫道聖一が言っていたことを追求しようとして、やめる。鈴音にとって、紫道聖一が言っていたことは間違いなくトラウマかそんなものになっている。それを追求するのは、結局紫道聖一とやることが同じだ。それは、隼人の本望ではない。

「取り敢えず、今日はもう部屋に戻りましょう。送っていきますよ」

「……ええ、ありがとうございます」



☆★☆★



市原先輩を部屋まで送ってきて、自室まで戻ってきた俺はベッドに倒れ込んだ。どうやら森崎君はまだ戻ってきていないみたいだ。また取り巻きと会場にでもいるのだろうか。

「それにしても……研究者と実験体、か」

紫道聖一の言ったあれは、どういう意味なのだろう。研究者と実験体が揃っている、という言い回しからして考えると、あれは多分自分のことも指しているのだと思う。そして、俺も。
正直言って、心当たりなどまるでない。明らかに俺は研究者なんて性質じゃないし、俺が実験の被験者になっていたことなんてない。
ただの人違い? いや、それは無理矢理すぎるか。だとしたら、俺の知らないことをあの二人は知っていることになる。

そういえば、もう一つ気になっていたことがあった。
あのパーティの時、紫道聖一との初めての邂逅の後に言っていた市原先輩の言葉は、明らかに前から紫道聖一を知っていた口振りだった。
九校戦に出場する選手として調べていた可能性もあるけど、あの警戒度から見て、なんらかの因縁があると考えた方が自然だ。

「市原と、紫道…そして、紫道と黒髪の少年、緑川佐奈…十字の道化師(クロスズ・ピエロ)…市原先輩は、十字の道化師と関係がある……?」

なにを馬鹿な、と斬り捨てる。そもそも紫道聖一と十字の道化師の関係だって分かっていない。今の推
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