Episode30:正義の味方
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、魔法発動スピードは並の魔法師を寄せ付けない。が、魔法が大規模なものになればなるほど、発動するための『想像力』も大きく、そして細かくイメージしなくてはならなくなる。
また、ただでさえ尋常ではない発動スピードに加え、『マルチタスク』という並列思考スキルを使用する隼人は、三段階に分かれている『想像』を一度に行っている。それは圧倒的発動スピードを更に早くする効果を持つが多大な集中力を消耗するため、広範囲に影響を及ぼす領域魔法は簡単に言ってしまえば想像以上に疲れるのだ。
故に、迅速かつ隠密が必須の『普段』で、疲労の激しい領域魔法を使うことはまずない。相手の領域魔法を上書きする時に使用するぐらいだろう。
だが、アイス・ピラーズ・ブレイクは『暗殺』ではなく『競技』だ。故に、隠れる必要もなく、また一試合一試合の間隔がそれなりにあるために疲労を心配する必要がない。
なによりも、圧倒的魔法力で場を支配してみたい、という欲求があった。
「なるほど……ちなみにどんな領域魔法を使えますか?」
「うーん…系統化されている領域魔法なら、大体は使うことはできます。使いこなせるのは、ムスペルスヘイム、ニブルヘイムとかですかね」
気体分子の振動を減速し、水蒸気や二酸化炭素を凍結させるのに留まらず、窒素までも液化させる領域魔法、ニブルヘイム。
気体分子をプラズマに分解し、更に陽イオンと電子を強制的に分離することで高エネルギーの電磁場を作り出す領域魔法・ムスペルスヘイム。
どちらも並の魔法師に扱うことはできない高等魔法を使えるとサラリと言ってのけた隼人に、鈴音は軽い頭痛を覚えた。
「……どうかしましたか?」
「いえ、なんでもありません」
突然頭を押さえた先輩に困惑を露わにする隼人だが、困惑したいのは鈴音の方だった。
そもそも、領域魔法自体扱うことが難しいと言われている魔法なのだ。それを、『大体は使うことはできる』と言ってのけた後輩のハイスペックぶりは呆れるしかない。珍しく、いつものポーカーフェイスを崩して溜息をつく鈴音。
しかし、と思い直す。
よくよく考えれば、目の前にいるこの後輩はほぼなんでもと言っても差し支えないほどの種類の魔法を扱うことができる。だとしたら、今まで自分が考えて結局実現不可能としてボツにした作戦を使用することはできるのではないだろうか。
気づけば、鈴音は黒い笑みを浮かべていた。
「少し、お時間を頂きます」
「へ…?」
約五時間後。『鈴音様恐ろしい』と譫言のように呟く青髪の一年生がいたとかなんとか。
☆★☆★
「……市原先輩って、実は性格悪いんじゃ?」
「褒め言葉として受け取っておきます」
ゲッソリとした顔で、せめてもの皮肉を言うがサラリと流されてしまう。涼しい
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