暁 〜小説投稿サイト〜
魔法科高校の神童生
Episode30:正義の味方
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ナにがんばってもらうことにしよう)

訳ありらしく、学校に通っていないエリナは保護責任者である雑誌社の編集長の仕事を手伝いながら、俺の依頼を受けてくれている。
やはりエリナは俺が睨んだ通りBS魔法の使い手のようで、以前風呂場に乱入してきた時のように『物質透過』なるものができるそうだ。また、加速系魔法も使えるようで、その機動力は下手をしたら俺の上かもしれない。
彼女には今回、無頭竜のアジトの割り出しを行ってもらっている。勿論、深追いは禁止。危なくなったらすぐに切り上げろとキツく命令してある。

(……彼女はまだ14歳だ。ちょっと無理させすぎかな)

いくらエリナが優秀だからと言って、俺でさえ疲労する諜報活動を連続でさせるのは余りにも酷だ。

「…休ませてあげよう」

「休ませる? 誰をですか?」

と、背後から聞き覚えのある声と共に軽い衝撃が襲ってきた。

「エリナ? どうしてここに?」

椅子の後ろから俺にのしかかるようにして現れたのは、つい今考えていた少女だった。それにしても、まったく気配がしなかったけど。

「普通に入場して、それで面倒だったんで透過してショートカットしてここまできました」

やっぱり。でも今俺が聞きたいのはそういうことじゃない。

「仕事は終わったの?」

「はい、今日は取材ナシでしたから。それと、九校戦を見に行きたいって言ったら編集長がお休みくれました!」

「そっか。じゃあ、しばらくゆっくりできるね」

「はい! 先輩の活躍、楽しみです」

そう言われてしまったら頑張るしかないんだけど。丁度いい、エリナには今回は完全OFFにしてもらおう。

「エリナ、情報のことなんだけど…」

「あ、はい。敵のアジトの位置は大体掴めました。あとは細かな情報と、裏付けをするだけですね」

「ありがとう、早いね。じゃあ、この後ちょっと予定があるから夜俺の部屋に来て。そこで話し合おう」

部屋番号を書いた紙をエリナに手渡す。なんか顔を赤らめてクネクネしてるけど、まあいつも通りな気がするから放っておくことにしよう。
そろそろ会長の決勝トーナメントが始まるようだし、雫のことを迎えに行ったほうがいいかな。

「それじゃ、また後でね。エリナ」
「わひっ!? あ、はい! また後で!」

変な声を上げたエリナに笑みを漏らし、俺は二人分の会計を済ませて店から出るのだった。



☆★☆★



「……あれ、市原先輩?」

雫と別れた隼人は、一高専用のテントを訪れていた。勿論、ただ暇だったから、という理由ではなく鈴音に呼ばれたためである。
しかし実際に訪れてみると、テントの中に鈴音の姿はなく、隼人は首を傾げるしかなかった。

「おう、どうした九十九?」

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