Episode30:正義の味方
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プーンを口元に寄せる。
「はい、あーん」
「あ、あーん……」
そして、小さく開かれた口の中にスプーンを入れる。
「美味しい?」
「…うん……ありがとう」
俯いてお礼を言う雫に、かわいいなーと思ってしまう。
雫とは十字の道化師の時以来、結構仲良くなることができた。最初はあんまり感情の起伏がなくて、表情にもあまり出さない人だったから、話しかけ辛いなと思っていたけど、今ではちょっとの表情の違いでも少し分かるようになって、意外と雫は恥ずかしがり屋だってことが分かった。それがちょっと嬉しくて。
「…どうかした?」
「え、いやぁ…雫ってかわいいなーって」
「…!?」
あ、思ったことがつい口に。
ガタッと椅子から立ち上がった雫に、俺はどうすればいいか分からず引き攣った笑みを浮かべた。
「……も、もう一回…」
「え?」
「もう一回、言って…」
もう一回? なんだ、聞こえなかったのかな? 少し恥ずかしいけど、まあ断る理由もないし、いいか。
「かわいいよ、雫」
「〜〜〜っ!」
「え、ちょっ、雫、顔真っ赤だけど大丈夫!?」
突然顔を真っ赤に染めた雫に、慌てて側に寄る。熱を計る為に額に手を当てると、かなり発熱していることが分かった。慣れない場所で風邪でも引いたのかな?
「大丈夫、雫?」
「…大丈夫。少し、想像以上だっただけ」
「?」
雫の言っていることがよく分からなかったけど、大丈夫ならそれでいいか。
「あ、雫のサンドウィッチも頂戴」
「……ん」
「ありがとー!」
☆★☆★
雫が御手洗いで席を立った後、端末にメールが届いていたことに気づいた。送り人は不明。かなり怪しいけど、見てみないことにはなにも分からない。一体どんな厄介ごとに巻き込まれることになるのか、溜息をつきながら、メールを開いた。
『警告』
開いたメールの文面には、それだけが、簡潔に書かれていた。
(……警告、ね。これ位の脅しで、どうにかできるとでも思っているのかな?)
だとしたらナメられたものだ。これ以上踏み込んだら殺すと言うのなら、寧ろ好都合。そちらから尻尾を出して来てくれた所を返り討ちにしてやる。
(お前らには、沢山聞きたいことがあるんだよ。ねぇ、無頭竜…)
今回、この九校戦に無頭竜がなんらかの形でちょっかいを出して来るのは既に分かっている。
組織自体がこの九校戦をネタに博打を行っているらしいのだ。なにがなんでも自分達が勝つように『調整』してくるだろう。下手をすれば死人が出るかもしれない。
(九校戦が始まる前に決着をつけておきたかったけど、やはりアジトがわからない分にはどうしようもないか……そこはエリ
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