第3章
月光校庭のエクスカリバー
第77話 聖魔剣
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の足下に投げ捨てる。
「欲しければくれてやる。もはやさらに完成度を高めた物を量産できる段階まで来ているのでな」
「………」
木場はバルパーの言葉に耳を貸さず、静かに屈み込み、哀しそうに、愛しそうに、懐かしそうに結晶を手に取る。
「……みんな…」
そして、結晶を優しく手で包み込みながら呟いていた。
「許せねえ!ジジイ、テメェッ!!」
俺は沸き起こる怒りが抑えられなかった。
「……バルパー・ガリレイ…貴方は自分の研究、欲望の為にどれだけの命を弄んだ…?…」
木場が握り締める結晶から淡い光が発せられ、木場を囲うように広がっていく。
やがてそれは何かの形を成してきた。
「あれは…?…」
「……人…?…」
「ああ、そんな風に見えるな…」
小猫ちゃんの言う通り、光は人の形になってきていた。
「……おそらく、木場が言っていた同士達だろう…」
「……この戦場に漂う様々な力が、そして、裕斗君の心の震えが結晶から魂を解き放ったのですわ」
やがて、はっきりとした複数の少年少女となった。
「皆……僕は…ずっと…ずっと思ってたんだ。僕が…僕だけが生きていていいのかって…僕よりも夢を持った子がいた…僕よりも生きたかった子がいた…僕だけが…!…平和な暮らしを過ごしていていいのかって…!…」
木場が抱えていた思いの丈を全て吐き出した瞬間、清らかで、そして、透き通った歌声が校庭に響き渡った。
「これは…聖歌か?」
「はい、そうです」
明日夏の疑問にアーシアが答えてくれた。
「あ」
一人の少女の霊体が木場の袖口を優しく引っ張り、木場が振り向くと、優しく微笑んだ。
それを皮切りに少年少女達の霊体が光の粒子になって木場の下に集まり出した。
『大丈夫』
『みんな集まれば』
『受け入れて』
『僕達を』
『怖くない。たとえ神がいなくても』
『神様が見てなくても』
『僕達の心はいつだって』
「っ…一つ…!…」
木場が涙を流しながら答える。
「……温かい…」
「うん、温かいね」
小猫ちゃんや鶇さんの言う通り、聖歌もこの光もとっても温かった。
「あれ…?…」
「な、何で…?…」
「涙?」
「何だ…?…涙が…止まらねえ…!」
いつの間にか、千秋や燕ちゃん、鶇さんも閉じられてる目を開け、アーシアに小猫ちゃん、さらに明日夏までもが、そして、俺も涙が自然と流れ出てきてしまっていた。
そして、光が木場を優しく包み込んでいく。
『あの騎士(ナイト)は至った』
「ッ!?」
突然、ドライグが話し掛けてきた。
至ったって?
『所有者の想いが、願いがこの世界の流れに逆らう程の劇的な転じ方をした時に神器(セイクリッド・ギア)は至る。それこそが禁手(バランス・ブレイカー)だ』
光が止むと木場は覚悟をした様な顔付きになり、手に一本の剣を作
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