#12『セカンドリベリオン』:1
[4/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
される。彼をそんな可哀そうな状態に変えてしまったのが、もう一人の方。
その男は、地面に胡坐をかいて、分厚い本を片手にけらけら笑っていた。
壮年、とは言わないが、くたびれた様子の男。比較的若いメンバーが多い《教会》上層部では、異例の風貌だ。癖のある、白髪が混じり始めた黒髪に、恐らく何日も剃っていないのだろう無精ひげ。赤みがかった瞳をもつ切れ長の目は、銀色のフレームの眼鏡に隠されており、その本性を覆い隠している。
纏っているのは黒いコートと儀礼帽。どちらも、《七星司祭》の一員であることを示す服装だ。
「あー!おじちゃーん!」
「おぅ、誰かと思ったらコーリングの坊主じゃないか!久しぶりだな。またでっかくなったんじゃないか?」
コーリングがうれしそうに声をかけると、男は破顔して片手を上げた。
「チャイネイも久しぶりだな」
「お久しぶりです。イーファイ様……何カ月ぶりでしょうか」
「あー……確か最後にお前を見たのは二ヶ月前だな」
再びけらけらと無責任そうに笑うその男の名は、イーファイ・グースワット。《七星司祭》最高齢の41歳でありながら、恐らく純粋な戦闘能力では《教会》最強の男。
本職は《職業軍人考古学者》。それは彼がかつて、崩壊した地上を探索し、遺産を回収する、この世で最も危険な仕事、《探索者》の職に就いていたことの証明。ありとあらゆる状況に対応するための戦闘能力と知識を保有し、さらにはその《刻印》、《獅子》がそれを強力に後押しする。
《七星司祭》にすら与えられることは珍しい《禁書》のうちの一冊、《獅子心剣/偽》を保有しており、その力を完全に開放すれば、《王都》を単身で沈めることすら可能になるという、まさに規格外の化け物。
ただし彼本人は自身を「無害なおっさん」と称するおちゃらけた人物であり、性格面では好感が持てるのだが……
「……クーレッド、大丈夫か?」
「大丈夫なわけがないでしょうチャイネイさん……ボクはもう眠くて眠くてしょうがない……ああ、早く帰ってナタリアに膝枕してもらいたい……」
糸が切れたのか、いかにも眠りそうな調子で答えるクーレッド。ちなみにナタリアとは彼の恋人の名前で、クーレッドが常に巻いているマフラーも彼女の手によるものだそうだ。
「ん?何だ、休みが欲しかったのか?じゃぁ一週間ぐらい休暇やろうか?」
「……本当ですか?……その間きちんと仕事するんですか?」
「いや、しない!監視の目が緩んだぜヒャッハーとばかりに大図書館に籠る!だから帰ってきたら仕事の量は二倍増しだぜ!」
「この外道ォォォォォォッ!!」
そう、イーファイは大の仕事嫌い。書
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ