#12『セカンドリベリオン』:1
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が、いつもチャイネイの仮想対戦を中断させてしまう要因であり、ここ数日ずっとチャイネイの脳裏を占めている話題であった。
あの時、極限の緊張状態で、七年も未来の先の出来事を読み取ってしまったのだろうか。それとも――――うわさに聞く、《前世の記憶》とやらなのだろうか。
あり得ない、と思う反面、なるほど、と納得する自分もいる。
《ラグ・ナレク》以前の宗教の一つに、仏教というモノがある。その中心となっている考えの一つが、《輪廻転生》だ。死んでもその魂はめぐりめぐって新たな命に生まれ変わる、という思想。
《霊魂不滅》ならどこの宗教にもあるだろう。実質的に無神教…より正確には《皇帝崇拝》だろうか…が国教である《箱舟》世界では、ただの魔術的思想の類にすぎなかったはずだ。
だが、奇想天外な大仮説は、その反面、否定することが不可能である、とも言われている。チャイネイは専門的な哲学がそこまで得意なわけではないが、結局のところ個人が特定できる《他》には圧倒的な限界があるからだ。『世界の真理』に直面することなど不可能であるという。
チャイネイたち武術家は、戦いによってその『世界の真理』に辿り着こうという哲学の上に成り立っているわけだが――――まぁ、今はその話は置いておこう。
とにかく、チャイネイはここ暫く、ずっとあの映像のことで頭の中がいっぱいだった。
「チャイネイ?ねー、チャイネイ。聞いてる?」
「っ!も、申し訳ございませんコーリング様。もう一度お願いしてもよろしいでしょうか」
こうやって、主であるコーリングの話すら耳に入らないほどに。
本来の自分ならあり得ない事態であった。あくまでも独立した司祭機関である《十五使徒》と違って、《七星司祭》直属の組織である《十字騎士団》にとって、対応する主は《教皇》のつぎに重要な存在……いや、身近な分、もしかしたら《教皇》よりも大切なな存在であるかもしれない。
だから必然的に、その《十字騎士団》のトップである師団長と主の間の絆は特別なものとなっていく。以前説明した通り、コーリングとチャイネイが、お互いに強い信頼関係にあるように。
チャイネイはコーリングとの絆を誇りに思っている。だから、彼の言葉を聞き逃すなどということはない、と自負していたのだが……。
「最近多いよね。何か考えごと?」
肩車されたコーリングが聞く。彼は賢い少年だ。此所最近のチャイネイの異変には既に気付いていたのだろう。チャイネイは苦笑して答えた。
「いえ、ご心配には及びませんが……」
そこでふと、チャイネイの脳裏にある単純な疑問が浮かんだ。
コーリングは、あの映像を見たことがあるのだろう
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