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ノヴァの箱舟―The Ark of Nova―
#11『司祭達の日常』
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ぇ。つくづくやめて正解だったと思いますよ」

 その時、スワイの動きがぴたりと止まった。数秒の後、彼は顔をしかめてリビーラに問いかけた。

「……貴様……本当にそう思っているのか?」
「ええ。辺境の生活もなかなか楽しいですよ。むしろ私の理想にぴったりです。本当によかった――――()()()()()()()、《()()()()()()()()()()()()()()
「……ふん。勝手に言っていろ。……それよりも、家の方には寄ったのか?」

 今度は、リビーラの動きが止まる番だった。リビーラの生家には、ここ数年ほとんど顔を出していない。行けば、古参の女中あたりは喜んでくれるかもしれないが――――

「寄ったわけがないでしょう、あんな家……気分が悪くなりました。帰ります」
 
 これ以上あの家のことを思い出したら、本気で気分が悪くなっていくかもしれない。

 リビーラが踵を返すと、最後の最後で優位に立てたことに調子に乗っているのか、スワイが新たな問いを投げかけてきた。

「ああ、そう言えばな、リビーラ。先日、お前が活動していたソーミティアのあたりで、殺傷事件があったんだそうだ」
「……へぇ。それは危ないですね。注意します」
「まぁまて。それでな。ウチの雑兵も何人かやられたんだが――――()()()()()()で焦げだらけにされた奴が複数と、()で綺麗に殺された奴が一人いたんだ……お前、何か知らないか?」

 それは――――暗に、その犯人がリビーラだ、と言及しているのではないか?事実、恐らくその事件は、リビーラがメイを助けるときに行った殺傷のことだろう。

 全力で動揺を多い隠し、リビーラは答えた。

「さぁ……知りませんね」
「……そうか。悪かったな。呼び止めて」
「いえ。……スワイ閣下も、足元を救われないようにお気を付けを」


 ***

 
 出勤届を出し、目的の人物がいないことも分かった今、ここにとどまっている理由は無い。さっさと帰って毒薬の調合にでも取り掛かろう――――そう思い立ったリビーラは、足早に《教会》本部内を歩く。

 門のあたりに出た時、周囲がにわかにざわめいているのに気が付いた。司祭たちの声と、敷地の外から聞こえる黄色い歓声だ。リビーラも昔はこういった事態に悩まされた覚えがある。何人か逆ストーカーがいた様な記憶もあった。

 だが、今聞こえるざわめきは、ただの畏怖と憧憬の歓声とは異なる気がした。幾筋か――――本当に幾筋かだけ、《恐怖》の声が混じっている気がする。

 そのざわめきの正体は、門を出た時
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