#11『司祭達の日常』
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のだが……。
「それでは、同じく《七星司祭》のコーリング・ジェジル様、もしくは《十字騎士団》のチャイネイ・ズローイクワット様は?」
「あいつらは《知識》だ。ここにはいない」
続く質問を受付嬢にあてた時、後ろから聞き覚えのある声がした。露骨に顔をしかめながら振り返ると、そこに立っていたのはやはり予想通りの人物。
炎のような色合いの赤毛。羽織っているコートは、この《教会》で最高位の司祭であることを示すデザイン。《教会》で二番目に高い地位をもつ存在である男―――――
「おや、これはこれは。スワイ閣下ではございませんか」
「相変わらずその演技めいた態度は変わらないんだな、リビーラ」
《教皇補佐官》、クロウ・D・スワイである。
そもそもこの男と、現在の《教皇》であるアドミナクド・セント・デウシバーリ・ミゼレ、そしてリビーラの三人は幼馴染である。まだ世の中のことなんて何も知らなかった幼いころは、三人で英雄ごっこなどをして遊んでいた覚えがある。とある事情でリビーラとスワイが仲違いして以来、その関係も終わりを告げたが。
リビーラにとって彼は旧来の親友であると同時に、出会えば喧嘩を始めるほどの中の悪さを誇る宿敵でもある。ここ最近はなんとなくお互いに自制が可能になってきたが、五年ほど前までもっと険悪な中だった。
「それはこちらのセリフですよ、閣下。これは私の素です。口出しをするような立場にあるとは思えませんが。ああ、もしかして癖ですか?私たちの世話を焼いていたころからの。生憎、もう私はあなたにお世話をされる年ごろじゃありませんよ」
「言うじゃないか……悪いな。久しぶりに見たものだからつい口を出してしまった」
「お互い様です。私も熱くなってしまい申し訳ない」
と言いつつも、スワイもリビーラも全く反省するそぶりを見せてはいない。
旧来からの二人を知る者がここに居れば、また始まったよ、と受け流せるのかもしれないが、残念ながらここに居るのはただの無害な受付嬢だけである。
「あの、えっと」
事態を収束させようとわたわたし始める哀れな受付嬢を無視して、スワイとリビーラは良いあいを始める。
「それより、《七星司祭》に何の用だ?お前の立場では即謁見とはいかないだろうに」
「いえ、少し用事があったものですからね。あえたら行幸、と思っていたんですよ。残念ながら無理そうですがね」
「ふん。わざわざ辺境でうろついているからタイミングを逃すんだ…………《王都》に戻ってきたらどうなんだ。まだお前の席は残っている」
「はいはいツンデレツンデレ。相変わらずの上から目線ご苦労様です。ああ、手のかかる上司をもっているとそんな偏屈な性格になってしまうのでしょうか。嫌ですね
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