【プロローグ】 化猫の宿
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ェンディちゃんの説明をさえぎった。
ちょっと驚いた、にしては少々声が大きく、ウェンディちゃんは肩を跳ねさせ硬直してしまった。
が、ぺテルと呼ばれた女性はかまわず接近し肩をつかみ、揺らす。
「け、怪我とかしなかったの? シャルルも! もししてたら見せて頂戴、薬草の備蓄はあるから安心して。ああ、でもこの森はモンスターがいないはずなのにどうして……!」
過保護なのは、どうやらシャルルだけではなかったらしい。
取り乱したぺテルさんの声は相変わらず大きく、ウェンディちゃんが彼女をなだめている間にぞろぞろと人が集まってきた。
「どうした、ぺテル! なんの騒ぎだ?」
「ウェンディが襲われて怪我したらしいの!」
「ウェンディが!?」
「そんな、今日は近くに木の実取りに行くだけの簡単な依頼に行ったはずだろ!」
「襲われたって何に! モンスターはいないはずよ!」
「って、おい。この黒ずくめ誰だ!」
「まさかこいつが……!」
「ウェンディ、ぺテル、シャルル! 早くこっちに!」
おっと、笠をかぶりなおしたのは失敗だったかな。全身を隠すようなこの格好は防寒やら防塵やらに役立ち、寝袋代わりにもなるのだが、確かに怪しい格好であることは自覚している。ウェンディちゃんとシャルルは連れて行かれ、人垣の中へ消えていってしまった。
まずい、農業工具持ち出してきてる人がいる。
鎌に高枝バサミ、トンカチに剪定バサミ、のこぎりに斧。なかなかバリエーション多彩だ。
あと、やばいやばい。チェーンソーと鉈は本格的にやばいから待って。防刃性能最強だけど痛みが無いわけじゃないの。岩にたたきつけたように刃の部分が吹き飛んだりするかもしれないし危ないからしまおうよそれ。
「み、みんな落ち着いて! ちょっと怖い格好はしてるけどこの人は私を助けてくれた人だよ!」
ギルドメンバーの方々が構えの姿勢から突撃の姿勢に変わろうとしていたギリギリで、人垣の中から救いの声が響いた。
しかし、やはり怪しいのか。ナチュラルに言われたからちょっと傷ついた。
人の隙間を縫って細い腕が突き出してきたかと思うと、そのままわずかな隙間を作ってなんとか、といった様子で若干髪の毛が荒れたウェンディちゃんが出てきた。シャルルは無理だったらしい。
はぁはぁ、と一瞬にして大分疲れた様子のウェンディちゃんは、ぺしぺしと叩いて荒れた髪を直すと僕の目の前に立ちはだかり、ピシっと過保護の集団を指差した。
「ぺテルにも言ったけど、私が襲われたのはモンスターにだよ。ウォードックっていうモンスターがなぜかこの森にいついてて、この人はその撃退の任務にきた傭兵さん!」
「そ、そうなの……?」
「そうなの! だからみんなそんな危ないものしまって、失礼だよ!」
よほどの
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