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黒き刃は妖精と共に
【プロローグ】 化猫の宿
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 普段はモンスターが少ない森の中でここまで強力なものが必要なのかという疑問もあるが、先ほどのウェンディちゃんたちの様子を見るに外部情報があまり入ってこない場所なのだろう。備えあれば憂いなし、というやつか。

「あの、やっぱりうちのギルドって他のところと結構違うんですか?」

 少々きょろきょろしすぎたか、ウェンディちゃんが不安げに僕の顔を覗き込んでくる。
 わずかに視線を振れば、とがめるようなシャルルの視線も、僕の目を睨んでいる。この子の気弱さを踏まえれば過保護になる気持ちもわかるけれど、初対面に近い人間に敵対心むき出しというのはどうなのだろか。

「珍しいといえば、珍しいかな。普通、というか僕が見てきたギルドってものは一個の大きな集会所があってそこにいろんな人間が集まって依頼をこなすって形だったし、集落が丸ごとギルドって言うのは初めて見たよ」
「そうなんですか。他のギルドの話って、作った物を売りに行ったときとかに聞く噂話とか雑誌とかでしかしらないのでこれが普通なのかなーって」
「生産が主なギルドだっけ、それにしては外界との接点がそれだっけなの?」
「うーん……そう、ですね。ギルドって言っても本当に集落に近いので普段は依頼で近くの集落や村からのちょっとしたお願い事とか、私の治癒魔法で怪我を治してあげたりとかがあるくらいであんまり……。ほとんど自給自足なので、そこまでお金が必要ってわけでもないですから」
「そっか。ま、初めてみたとは言ったけど、なにも派手にモンスターを狩ったり金融取引するだけがギルドじゃない、知らないだけでわりとあるだろうね」

 ある、はずだ。
 ギルドといってもその業務内容は多岐に渡るため、本気で調べなければどんなものがあるかなどということはわからない。竜の噂以外基本世間話というものを気にしなかった僕ならなおさらわからない。

「あら、ウェンディ。お帰りなさい……、そちらの方は?」

 と、建物の中から若い女性が出てきて、僕の存在に気づいたせいか驚いたような様子で疑問を挨拶と同時にウェンディちゃんにへ投げかけた。
 二十代前半くらいだろうか、ウェンディちゃんが比較的普通な服装なのに対し、その女性は占い師のような、どこか民族衣装を連想させる独特な衣類をまとっているためわかり辛い(東方の品である和服をまとう僕が言えた筋合いではないが)。
 民族衣装、というものを踏まえて考えるとそういえばここは年季が入っているような印象も受ける。もしかしたらウェンディちゃんが来る結構前から細々とギルドとしての活動をしていたのかもしれない。

「あ、ぺテル。ただいま! この人はクライスさん、森でモンスターに襲われてたところを助けてくれたの。だからお礼にお茶とか――」
「モンスターに襲われた!?」

 大声が、ウ
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