【プロローグ】 化猫の宿
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良くも悪くも注目されるため、悪用する輩も少なくない。もしここのギルドが外界との交流に積極的だったとしても、万が一の場合戦える魔法を持っていないというのはいささか危険だろう。
だから、か。
「ウェンディちゃんが親探しをする協力者がほしかった、というわけですか?」
「……すまない。都合のいいことを言っていることは自覚しておる」
たしかに、都合がいいかもしれない。
通常、護衛の依頼をすればそれなりの金額が発生する。僕の場合一応良心的な値段を心がけてきたが、それでも繰り返せばそれなりの金額になる。内容が内容だけに、足元を見るようなギルドや傭兵も少なくない。
織物や野菜の販売などをたまにしているという話だが、そんなちょっとしたものを売った金額では護衛を雇うのにかかる資金はそうそうたまらないだろう。
が、ギルドメンバーになってしまえば話は別だ。
身内ならば、依頼ではなく一緒に行こうというお願いですむのだ。もちろん身内中でも依頼といった形をとることもあるが、そこに莫大な金銭が発生することは無い。
「マスター……いきなりそんなこと言ったらクライスさんが困っちゃいますよ。クライスさんだって、私と同じで記憶を……自分の家族を探している途中なんですから」
「でもウェンディ、あなた自分で言ったけどあなた自身も探してるんでしょ? こいつ、結構強いみたいだしここに入ってくれればいままでいけなかったような危険な場所や思い切った遠出もできるかもしれないわよ?」
「シャルルまで……」
言いながらも、彼女自身思うところはあるのか、声にはそこまで明確な否定は無い。
それはそうだろう。できることなら僕のように世界を旅してでも自分の両親を探したいというのが彼女の本音のはずだ。
そして何より、同じドラゴンスレイヤー、同じ経緯・経験をしている人間なら他の誰よりもこの御伽噺のような願いを聞いてやれるのだ。彼女の存在が僕の希望になったように、僕の存在もまた彼女の希望になりえるのかもしれない。
……よし。
「構いませんよ」
「え?」
意外そうなウェンディちゃんを一瞥し、マスターローバウルへと僕は答える。
「ウェンディちゃんは僕に希望をくれました。その恩返しができるのなら、喜んで僕はここにいたいと思います。それに、ここのお茶、おいしいですしね」
「おお、ここにいてくれるか。ありがとう、ふがいないワシらの変わりに協力してやっておくれ」
「喜んで。こんな僕でよければ、よろしくお願いします、マスターローバウル……いえ、マスター」
再び視線を向ければ、きょとんとした様子のウェンデちゃんの姿。
見れば見るほど、幼く弱弱しい少女だ。
果たして、僕は子のこの希望になってあげられるのだろうか。僕よりずっと幼い時に竜を、両
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