毒と鞘と夫婦剣
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う。そして確実な死を与えるため祈りの弓を使う気だ。
「マスター、っ!?」
こちらに駆けつけようとするアーチャーだが、膝が地面に崩れる。ダメだ、アーチャーも毒やダメージでもう体が限界だ。自力でなんとかしようにももう体が……………
あの矢を人間の使う魔術では防ぐのは不可能だ。例えあったとしても衛宮士郎が使うことはできない。
「毒血、深緑より沸き出ずる!」
矢が放たれ一直線に俺に迫ってくる。瞬間、今までのことが頭の中を駆け巡った。
『いいか。お前は戦う者ではなく、生み出す物にすぎん。余分な事など考えるな。お前に出来る事は一つだけだろう。ならば、その一つを極めてみろ』
『貴方が私の………………』
(……………これが走馬灯というものだろうか)
いや、どれも違う。頭にあるイメージが浮かんだ。あの黒い騎士の槍を防いだ時に出てきたイメージ。黄金の光に照らされたある一つの何か。
光に照らされているが、あの時は霧がかかったかのようにその姿を見ることができない。けれど、今の俺にはそれが何か理解できた気がした。
「投影…………開始…………」
呟くと同時に意識を奥深い所に潜っていく。深く、深く、もっと深く、魂の、精神の、肉体の底まで、深く、探り出す。全てのものがありながら、何も無い世界を。何千何万という、墓標の如く丘に突き刺さる剣の群れ。その更に奥。衛宮士郎にとって最も強く残るイメージ。
精神集中も工程もすっ飛ばして作り上げたそのカタチを手にする。瞬間、周囲は黄金の光に包まれた。
アーチャー視点
(……………バカな)
それはその瞬間に、衛宮士郎の手の中に現れた。この衛宮士郎では再現することなど不可能なもの。
しかし、衛宮士郎の身体にとって、それはまさに自らの半身と呼ぶべきもの。心強い騎士を象徴する、本来彼女が有する最強の守り。
全て遠き理想郷
彼女が死後に辿り着くとされた、王が夢に見た……決して辿り着く事の出来ぬ理想郷。
「は、はは。なんだよそれ…………」
「バカな…………ありえん」
敵陣営2人も驚愕している。矢が届くまで一秒もかからない。その一瞬で宝具が防がれた。サーヴァントではなくマスターに。
その上鞘から放たれた黄金の光は周囲の毒までも消し飛ばしていく。当然だ。この鞘は人類60億の呪いをも防ぎきるもの。この程度の呪いなど造作もない。
だが、あちらにとっては奥の手を潰されたのだ。動揺し大きな隙が生じる。
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