下忍編
君麻呂
[1/7]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
呆然とした様子で、白はカトナを見つめた。
自分には決して理解できない高みにいる、自分では決して理解したくない高みにいる、化物と人間をかけ合わせて生まれたような、そんな子供に、白の全身の毛が逆立つ。
あの子供と戦ってはいけない。
あの子供と戦うのは、死ぬ可能性をいたずらに増すだけでしかない。
それは例え自分達の主たる再不斬をも、例外ではない。
一刻もはやく、この場から逃げなければならない。再不斬の夢を叶えるためとはいえ、この任務を続けるには危険…いや、イレギュラーが多すぎる。
多勢でかかれば敵うかもしれない、他にも同じく霧を抜けてきた忍がいる。協力してもらうこともやぶさかではたい。だか、あれらを再不斬は信用してはいない。
裏切りにあう可能性の高さは、語るまでもないだろう。
君麻呂の力を借りれば、相対することも不可能ではないが、彼の体は、今、病におかされている以上、白だけでは再不斬を守りきれない。
白の聡明な頭は回転し、そして結論をだす。
ガトーを殺し、金を奪う。
ただ、それだけだ。
元々ガトーを殺さなかったのは、霧の追い忍に見つかりたくなかったからでしかない。再不斬の切り方で、霧の抜け忍とばれてしまうかもしれないが。白の切り方は再不斬から教えてもらったのを改造した、独特の切り方だ。
再不斬たちのだと判断する程度の時間を稼げるだろう。状況次第では、君麻呂の骨を使い、撹乱することもできる。
そこまで考えて、白の体に、唐突に寒気が走った。
根拠はない、予感はない。けれど、魂の奥で叫ぶ声がある。
瞬間、白は少なくなったチャクラを振り絞り、転々と氷の鏡を作り、移動する。
再不斬をおいて偵察しにいく時に使ったりする、ただの移動用の忍術にしか過ぎないが。
いま、この場において、それは何よりもの利便性を伴っていた。
白の体が、勢いに乗じて、再不斬の前に飛び出す。
予期せぬ人間の来訪に、カカシの手が僅かに鈍るが、再不斬に向けて放たれたその手は止まらない。
カカシの手に宿った雷が、勢いを増し、白の心臓めがけて突き出される。
電光が、空に走る。
再不斬の目が見開かれる。
白が目をつぶり、両手を広げ。
覚悟する。
しかし、血が飛び出ない。
痛みが来ない。
死の足音が、遠ざかる。
静寂だけが響き、違和感を感じた白が瞼を上げ、信じられない光景を目にする。
目の前に誰かが、立っている。
そして、白の体を貫くはずだったそれは、
白い盾で、防がれていた。
カカシの目が見開かれる。
彼の術は、写輪眼ではコピー出来ない。血継限界。骨を武器とする忍術。
そう、彼の術は、滅びた筈の、あの一族の
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ