下忍編
君麻呂
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だ。
だから、絶対に死なせない。
「死なないでね、かぐや」
ぽつりとそういって、カトナは体の中を荒れ狂う九尾のチャクラを全て制御下に置き、君麻呂の体に流し込む。傷つけるだけしか出来ない筈の九尾のチャクラが、意思を持ったかのように統制され、治す。
それを見て、白は千本を構え、ガトーの前へと姿を現した。
・・・
その力は、人を傷つけることにも、守ることにも使えるってば。
そういって、あの人は笑っていた。
呼びたいのに、名前がどうにも思い出せず、口から出たのは吐息だけだった。
赤い髪の毛を揺らして歩いていたあの人が、ふと立ち止まる。
「…ナ」
「はい?」
男の人の声に反応し、誰かに呼ばれたあの人が、赤い髪の毛を振って、返事をする。
優しく暖かい笑顔が、脳裏に瞬いて忘れられない。
驚くと赤い目を大きく見開かせ、羞恥を感じるとその白い頬を赤く染め、自分が慰めてもらう時に、美しく微笑み、抱きしめてくれる人だった。
嬉しそうに何度も何度も、自分の頭を撫で、失敗したら凄く落ち込んで、けれどそれを明るみに出さず、次こそ成功させると意気込んで、それでもたまに泣く、優しい人だった。
名前がわからず、声もわからず、顔もわからない。けれど、その髪の毛だけは覚えていて、そのチャクラだけは忘れられない。
封印式を使いこなし、彼女はよく九尾のチャクラを使って、人を治療していた。
強く気高く、その姿は、背中は、紛れもない忍びの物だった。
「…見つけた」
ぽつりと、湖面は無自覚のままそう呟いて、赤い九尾のチャクラを纏いながらも、必死に君麻呂を治療しようとするカトナの姿に目を見開く。
見間違いかもしれない、勘違いかもしれない。けれど、間違いないと確信する。
湖面が無くした記憶の本質は、きっと、あの赤い髪の子供に関わっていると、湖面はカトナを睨み付けた。
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