プロローグ
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「庭で侵入者が気絶していた」
『侵入者? おぬしやエクリア嬢ちゃんにも気づかれずに屋敷に侵入したというのか?』
「見た目は14〜5くらいの少女だが、魔力の質から人間ではない」
『ふむ……なるほどの。確かにこやつは人間ではないようだの』
セリカが持ってきた短剣は、元々は短剣ではなく長剣だった。しかも、魔剣と呼ばれる代物で、この剣の中にはセリカの盟友にして戦友であり、長き時を共に過ごしてきた友人でもある魔神ハイシェラと呼ばれる女性が封印されている。
現在は戦う事も無いので短剣に姿を変えているが、いざ戦いとなれば元の長剣に戻り、セリカによって絶大な力を振るうセリカの愛剣とも言うべきものだ。
「魔族だな」
『それも魔神級の存在だの……膨大な魔力、おぬしの糧にするのもアリではないか?』
「侵入目的を聞いてからだ。返答次第ではそうする」
結局のところ、少女は夕食時になっても目を覚ますことは無く、この日はセリカとエクリアが交代で警戒しつつ一日を終える事となった。
件の少女が目を覚ましたのは少女を発見した翌日の昼頃の事だった。
目を覚ました時、丁度見張りをセリカからエクリアに交代する所だったので、二人が揃って目を覚ました少女に気がつき、ベッドサイドに並んで立って事情聴取という形になったのだ。
「まず、お名前をお聞かせ願いますか?」
「せ、セラフォルー・シトリーです……えっと、ここは何処ですか?」
『シトリー? ソロモン72柱の魔神シトリーのことかの?』
シトリーという名にハイシェラが反応した。
「ここはレウィニア神権国王都プレイアにあるセリカ・シルフィル様のお屋敷です。貴女は屋敷の庭に倒れていたのをセリカ様に見つかり、ここに運ばれたのです」
「レウィニア? それってどこの国なの? 冥界にも人間界や天界にもそんな国の名前は存在しないよ?」
「冥界……?」
『どういう事だの? レウィニアはアヴァタール五大国の一つとしてそれなりに有名な国の筈だの。知らぬわけがない』
「本当に、レウィニア神権国を知らないのですか?」
「うん」
ならばセラフォルーは何処から来たのか、という問いには冥界にあるシトリー領にある屋敷の庭に居た筈が、気がつけばこのベッドで寝ていたという答えが返ってきた。
「冥界は、死者の世界だ。冥き途の先にある世界……生者では行く事の出来ない世界のはず」
「えっと、冥界は私たち悪魔の住む世界で、死者の世界は冥府や天界の奥にある天国と呼ばれる場所なんじゃ……」
どうにも意見が食い違う。
そもそも彼女は魔神シトリーなのかという疑問もあった。今までであった魔神が名前と家名を分けている者はおらず、なのに彼女はシトリーという魔神としての名をまるで家名のように扱っているのが
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